裏通りの鍛冶師
とあるβテスター、祈る
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なんて見せたくないからね。
僕にだって、譲れないものくらいある。
「それじゃ、お邪魔するヨ?」
「はーい」
「………」
一緒にいたのかよ。
一緒にいたのかよ!
────────────
「いやア。なかなか連絡がこないかラ、様子を見に行くところだったんだヨ。そしたらシーちゃんが買い物してるのを見かけてナー」
「るーちゃんがお買いもの手伝ってくれたんだよー」
「……そうですか」
楽しそうに笑うシェイリとは対照的に、僕の気分はどんよりとしていた。
どうやら買い物途中にアルゴと遭遇し、二人で買い出しを済ませてきたらしい。
僕とシェイリは同室に泊まっているため、一緒に戻ってきた彼女が入室許可を出してしまったんだろう。
思ったより早く戻ってきたことといい、アルゴが部屋に入ってきたことといい、運が悪かったとしか言いようがない。
「にしてもユー助、いつもこうやって年端もいかない女の子をパシってるのカ?オネーサン、ヒモはどうかと思うヨ」
「突っ込みどころが多すぎてあれなんだけど、とりあえずヒモじゃないから。あとその子僕と同い年だから」
自称だけど。
僕ですら未だに年齢詐称を疑っているけど。
ちなみに誤解されないよう弁明しておくと、毎回シェイリが買い出しに行くのは決して僕がパシってるからというわけではない。
SAOのストレージ容量は筋力値の影響を受けるため、彼女のほうがアイテムを多く持てるということで、いつの間にか買い出しはシェイリの役目になっていた。
……というか、交代制を申し出たら断られた。ユノくん力仕事は頼りないからだーめっ☆とか可愛く言われた。
そりゃあ敏捷値ばかり強化している僕と筋力値特化のシェイリとでは、持てるアイテムの量にもかなりの差が出てしまうけれど。
容量オーバーで二回に分けて買い出しするくらいなら、いちいち店と宿屋を往復する必要がないシェイリが行ったほうが効率的なんだけれど。
実は気にしていることをストレートに言われ、僕が密かにショックを受けたのは言うまでもない。
「にゃハハ、冗談冗談。大体想像ついてるヨ。ユー助が貧弱なのは今に始まったことじゃないからナ」
「そうなんだー?」
「ンー、ユー助にまつわるとっておきのエピソードがあるんだガ、1000コルでどうダ?」
「おい」
それβの頃の話だよね。βの情報は売らないとか言ってたよね、君。
「だから冗談だっテ。ユーモアのない男は嫌われるヨ」
「君の場合は本当に売り兼ねないから怖いんだよ」
「だいじょうぶだよ、ユノくん。るーちゃんは嘘つかないよ」
「ウンウン。るーちゃん嘘つかないヨ」
「……お二人さん、随分と仲良くなっていませんか?何かあったの?」
それにしても。
少し目を離した隙に、二人が妙に意気投合している
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