第1部 甦る英雄の影
第1章 人狼部隊
ヴェアヴォルフ
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ゅむっ!?……」
甘い美貌に今度は別の女性のアイアンネイルが炸裂し、二枚目の台詞を遮った。彼はネクタイの代わりに純白のタイを巻いており、端から見れば貴公子なのだがこの様子ではバカ王子である。アイアンネイルを放つ黒髪の寡黙そうな女性は黙礼して二枚目を睨む。
「……このバカが騒がしくてすまない。俺はヒルデ・ナハト……このバカはマルティン・ルーデル……」
他の隊員に比べて実用性重視の改造を施した制服のヒルデは、言い終わると更にアイアンネイルのパワーを強めた。マルティンがキザったく微笑んだからだ。
顔を鷲掴みにしたままヒルデはキャンプの奥に消えていく。苦笑いするマルギットが、残った隊員を紹介する。
「こちらがネレイ・コルノー、半自動小銃や突撃銃を扱います。そして彼がエルンスト・アドラー、狙撃兵です。眼帯の彼はギュスパー・ヨードル、機関銃や対戦車槍の重火器が専門です。最後に爆笑しているこの人がアンドレ・フィリッポス……強硬偵察に長けた方です」
「ネレイ・コルノーよ。使えない奴だと思われないことね。そうなったら背後に注意なさい」
「エルンスト・アドラーです。慣れないことも多いでしょうから、何かあれば頼って下さい」
「ギュスパー・ヨードルだ。ま、よろしく頼むわ」
「……ククッ、アンドレ・フィリッポスです。死ぬまでの短い間、よろしくお願いしますね」
「アンリ・クロウだ。まだ部隊のことは分からないことはかりだが、早く馴染めるよう努力しよう」
エルンストとギュスパーは性格こそ真面目とガサツで対局の人間だが、根本的には似た部分があるらしい。オールバックのエルンストは制服に改造がなく、腰にナイフを装備している他にこれといった特徴がない。逆にギュスパーはウルフカットの総髪に赤と黒の眼帯、上着はジャケットにされ、スボンはダメージ加工済みである。
反抗的なネレイと意味深な物言いのアンドレはなるほど外見と中身がある程度一致している。ネレイはつり目ぎみなカメリアの瞳と赤茶けた髪を身近なポニーテールで束ね、アンドレは波打つ山吹色の髪を目元まで伸ばし口元だけで笑っている。アンドレの制服はそ支給時のままだが、ネレイはスカートにフリルをあしらい全体的にロリータファッションを彷彿とさせるデザインだ。
「クロウ少将から作戦指示が届いている。メッペル基地の司令官室に隊員を集めてくれないか?」
「ロッシュ、車庫の二人を連れてきて。ギュスパーはヒルデとマルティンをお願い。ネレイは代理を、アンドレはガイウスを呼んできて。私は隊長と待機しているわ」
マルギットに指示された隊員は散開し、残ったのは彼女とアンリだけだった。代理とは言え基地の司令官を呼び出すことに驚いたアンリは僅かに動揺している。確かに『ヴェアヴォ
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