一章 十話 とある後輩は名を呼ばれる
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「ていうわけで、攻略組復帰の記念みたいな感じで、頼めると嬉しいなー・・・と」
攻略組復帰。
俺がそれを決めたのは、ついさっきだ。ついさっき、蒼の少女に許しの言葉を貰った時だ。
急といえば急なのだが、最大の懸念がなくなった以上、少しでも人手の助けになれば、と思ったのだ。
そしてそれを口実に、切っ掛けを探していたフレンド登録の件を、持ち出してみようかなー、と。
「そっかー、ようやく復帰かー。頑張ったかいがあったよー」
そんなことを言うアスナと、登録。
「ん?どういう事だ?」
いぶかしむクライン、登録。
「その感じだと、勧誘以外に何かやったのか?」
エギル、登録。
「あ、そういえば、フェイトの登場したタイミング、神がかり的だったよな」
狩り場での、レアドロップよりも確率の低いと言える再開の事を言うキリト、登録。
そこで、アスナが問題発言。
「うん、私がフェイトにあの場所を紹介したんだよー。ラーク君がいるかなーと思って」
「てんめーっ! こっちがどんだけ焦ったと!」
怒りで言葉が最後まで続かない。
「私も・・・正直慌てました」
蒼の少女も抗議の声を上げるが、アスナはしれっといい放つ
「良いじゃない、二人とも仲良くなったみたいだし、結果オーライって事で」
ムカついたので、言い返してやる。
「その図太さをキリト攻略に活かすべきだと思う」
「う、うるさーい!」
真っ赤になって怒鳴り返してくるアスナ。
「ん?どういうこと?」
キリトの相変わらずの鈍さに、自然と笑いが充満する。
アスナも、最初は頬を膨らませていたが、途中からその輪に加わる。
なんともアホ臭く、なんとも幸せと感じた。
そんな笑いも一段落着いたところで、俺は隣の少女に向き直る。
「ありがとな」
「・・・・なんのことですか?」
とぼけた様子ではない。本当に何のことか分かっていないようだ。
自分が、俺にどれだけの影響を与えたのかも知らないで。
「許してくれたのと、協力してもらったこと。」
あと、あの時俺を殺す気できてくれたこと。内心でそうつけ加える。
あの出来事がなければ、俺は今も、ただ復讐の道を歩いていたことだろう。
「ああ、そんなこと・・・・」
少し照れたように顔をうつむかせた蒼の少女。
その顔をみて、少し決意。
名前を、呼ぶ。
「フェイト」
「は、はい?」
名前を呼ばれた本人は、
少し戸惑っているようだった。
それもそうだろう。なにせ、面と向かって名を呼んだのは、これが初めてなのだから。
もう、気兼ねも要らないよな?
そういう意味も付け加えて、聞く。
「フレンド登録、お前もしてくれるよな?」
蒼の少女ーーフェイトは、おそらく俺が見たなかで最も良い笑顔で答えてくれた。
「はい!」
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