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SAO――とある奇術師は閉ざされた世界にて――
一章 十話 とある後輩は名を呼ばれる
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、そんなに気にしなくても。・・・もう、折り合いは着けましたから」
その言葉を聞いた俺に浮かんだのは、心が洗われるような感覚、そして、この笑顔が俺などに向けられていいのか、という疑問。
だが、彼女が、ほら、と促すように、優しく頷いたのを見た時、口から、勝手に言葉が滑り落ちていた。
「・・・・少し、頼みたいんだ」










「何でこんなトコに呼び出したんだよ、ラーク」
「こんなトコってなんだ、こんなトコって」
ボロ店の事を揶揄したクラインが、エギルにどつかれている。
「ねえ、キリトくん、ケーキの美味しい店があるんだけど、今度行かない?」
「い、いや、その日は、ちょっと用事が・・・」
今日もキリト攻略に励むアスナと、相変わらず女が絡むと途端に嘘のステータスが初期値まで下がるキリト。
そして蒼の少女。
「先輩」
彼女の少し気づかうような声に、何となくせかされた気分になってしまうのは、俺が少し緊張しているからだろうか。

ここはエギルの店。
みんかをここに集めたのは俺。
・・・正確に言うと、蒼の少女に頼んでメッセージを送って貰った。
その理由は・・・
「お、おい、ラーク、結局何で俺達を集めたんだ?」
アスナの猛攻に耐えられなくなったキリトが、俺に話をふってきた。
・・・・うーん、心の準備が・・・
「そーだそーだ、教えろよぅ。こっちはギルドの調整もあるんだからよぉ」
クラインの同調に、更に焦る。全く疚しい事はないのだが。
「先輩」
隣から見上げてくる蒼の少女を見て、少し落ち着く。
彼女だけは、ここに集めた理由を知っている。
「え、えっとだな」
口を開く。
「その・・・・メッセージが使えると、便利だと思わないか?」
「・・・・・?」
全員、キョトン。
「ほ、ほら、今だって、頼まないと、お前等を呼び出せなかった訳だしさ」
キョトンキョトン。
「ほ、ほらさ、階層無視で送れるんだぜ! すごいだろー」
「・・・・先輩」
は、はい。分かりました。分かりましたってば。

「フレンド登録! ・・・してくれないか?」
・・・・ホントはこんな直球キャラじゃないんだけどなぁ・・・
しばしの無言。
激しく緊張。
彼らは二、三度顔を見合せた後、
「なんだ、そんなことか」
口を開いたのはキリトだった。
「それは、そんなに緊張するべき事なのか?」
とエギル。
「そういえばフレンドじゃなかったんだねー。私達」
これはアスナ。
「つーか、今更すぎるだろぉ」
最後のクラインに、何とか返す。
「い、いや、今更だからこそ緊張するっていうか・・・・」
「私はフレンド零人ってトコに驚きました」
「うっせー! ちょっと色々あったんだよ! 多分」
照れ隠しに、ヤケクソになって叫ぶ。
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