第5章 契約
第70話 王の墓所
[9/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
き勝手な事件を起こされ続け、その事件を後手に回ると言う不利な状況で解決して行かなくては成らないと言う事ですから。
これまでのように、ギリギリで阻止し続けられるとは限りません。
もしかすると次の事件では対処が間に合わずに……。
それに……。
俺は、其処まで考えてから、何処か明確な一点を見つめていた訳では無い視線を、玄室に入って来た瞬間に視界に入る壁に移した。
そう、其処には……。
その一番目立つ位置に存在する画。オルレアン公の玄室を飾っているフレスコ画も、ブリミル教の伝承を示す物などではなく、悪意の体現イゴーロナクを表現している可能性も有りますから。
顔を描いていないのは、顔を表現するのが畏れ多いからなどではなく、最初から頭部が存在しないから。
両方の手の平の光は、イゴーロナクの口の暗示の可能性も有ると思いますし。
但し、その暗喩を籠めた。簡単に言うとネタバレ的なフレスコ画を、このオルレアン公の墓所に残す意味が判らないのですが。
たったひとつ思い至る理由。悪意以外の理由を除いては……。
「それでも、今考えても仕方ない事を考えて居ても意味はないか」
実際、今、このオルレアン公の墓所の玄室内で出来る事はもうないでしょう。
おそらく、オルレアン公自身の魂は、イゴーロナクとの接触をさせられた時にすべて失っているはず。
邪神が潜んでいた以上、この場での土地神召喚は無理。
そもそも、ブリミル教の聖地。教会内ですから、ここには俺が呼び出せる類の土地神は存在して居ません。
そう言う意味では、この世界は俺に取っては異世界。すべての魔法やその他の理論に対して俺の知って居る理が完全に支配している訳ではない、と言う事なのでしょう。
「そうしたら、一度、オルレアンの屋敷に返ってから、これから後の事について、タバサと相談するか」
一番、気分が重く成る情報。何者かに精神を支配されたタバサの妹が、オルレアン公の首を使った外法。世界自体に呪詛を行って居る可能性が有る、……と言う事を告げなくてはならないのですが。
まして、何の反動もなく……。何のリスクを負う事もなく、そのような巨大な陰の気に染まった呪詛を行える訳はないので、早く。出来るだけ早く、彼女を見つけなければならないのですが……。
俺の焦りについて理解しているのか、彼女にしてはかなり強い雰囲気で湖の乙女は首肯いてくれたのでした。
☆★☆★☆
魔法に因り灯された明かりが光源と成る部屋の中心。
その部屋の主人は寝台の上から、傍らに立つ俺の顔を見上げた。
その表情に浮かぶのは僅かばかりの不安。普段の落ち着いた雰囲気の彼女にしては、非常に珍しい状態。
しかし、それも宣なるかな、と言
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ