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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第70話 王の墓所
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天井、そして、壁を埋めるのはフレスコ画。これは多分、このハルケギニア世界の神話。始祖ブリミルに関する逸話だとは思うのですが、内容については良く判りません。

 ただ、一人の顔の描かれていない人物が両手を広げて、その両方の手の平から何か光のような物が発せられる様子が描かれているだけでしたから。
 もっとも、これが始祖ブリミルの逸話に関するフレスコ画ならば、流石に神の表情を画としても表現する事は(はばか)られた為に、顔の部分は細かく描く事もなく、更に、両手から光を発すると言うのも、地球世界での宗教画などでは良くある表現方法だと思いますから、差して珍しい物ではないと思いますしね。

 そして、もっとも重要な部分。この玄室からは、玄室唯一の石棺以外に何一つ余計な装飾品のような物を見付け出す事は出来ず、また、その石棺にも最初に閉じられて以来、開かれた形跡を見つけ出す事は出来ませんでした。
 外部から見る限りでは……。

「ここまで来て、このお棺を開いて、オルレアン公の首が着いて居るかどうかを確認せずに帰ったら流石に問題が有るか」

 どうも、こう言う場所では気味悪さから無駄口が多くなるのは仕方がないのですが……。
 ただ、そんな無駄口を口にしながらでも、全長で約三メートル。幅は、おそらく一メートル以上は有る事が確実な巨大な石棺の傍に立つ俺。湖の乙女は俺の右斜め後方。

 そして、その場で生来の能力の発動。
 その瞬間、ゆっくりと開いて行く石棺の蓋。おそらく、蓋だけでも一トン以上は有ると言う巨大な蓋で有ろうとも、俺の生来の能力の前ではあまり関係がないと言う事。

 その開いて行く石棺の蓋の隙間から見えて来る……黒い木製のお棺。
 確かに、石棺が三メートルも有るのですから、石棺の中に、本来のお棺が存在していたとしても不思議では有りませんか。

 その黒い塗料に包まれた、表面にオルレアン家の紋章が描かれた(ひつぎ)
 流石に石棺には紋章を刻む事は出来なかった物の、黒の棺の方には紋章を飾る事が許されたと言う事も、謀反を疑われた人物の棺としてはかなり異常な事だと思います。

 そして、
 今度は鍵の掛かっていない黒の棺桶を、見鬼を発動させ見つめる俺。
 ………………。
 問題なし。この棺桶に、危険な魔法のトラップが仕掛けられている様子は有りません。
 更に、今のトコロは何の危険な兆候も感じる事もない。

 ……なのですが、どうにも嫌な予感しかしないのですが。
 南京錠や魔法錠も施されてはいない。……と言うか、棺自体に取っ手のようなモノさえ存在してはいないオルレアン公の棺。
 その黒き色が、俺の不安感を感じた彼のように、それまで以上に鈍く光りを発する。

 しかし、だからと言って、こんな場所までやって来て、
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