第5章 契約
第70話 王の墓所
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ない位置からの不意打ちなどにも対処し易いですからね。
まして、暗闇の中で光源を持って移動する事自体が、この暗闇の中に敵が潜んで居た場合には攻撃の目印を与えるのですから非常に危険な行為と成ります。
流石に、いくら何でもそれは問題有りでしょう。
同じように湖の乙女に仙術を施した後、最後に魔法反射の呪符を施し……。
このハルケギニア世界の棺桶の大きさや、そもそも、オルレアン公がどの程度の体格をしていたのか知りませんが、貴族の風格と言う物は見た目と言う部分も大きいとは思うので、彼自身が小男と言う訳はないでしょう。
少なくとも俺ぐらいの体格の人間が納められる程度の棺桶を運び込む際に使用する通路で有る以上、かなり広い造りの通路。
その通路。レンガで造られたかなり頑丈な、但し、予想以上に深い下りの坂道を地下に向かって下って行く俺と湖の乙女。
まるでこの通路自体が冥府へと向かう通路の如く、何とも表現し難い異様な臭気に満ちた、最初に造られて以来、何者もこの道を辿った事がないような通路で有った。
確かに、入り口付近にはうっすらと積もった埃が、この墓が造られてから三年の月日が経過した墓で有る事の証明のように存在していたのですが、それも入り口の周辺部のみ。其処から十歩も進まない内に、何者かに掃き清められたように埃や、傷みのような物は目に着かなく成りましたから。
そう考えながら地下に向かって降りて行く事約三分。予想以上に深い通路に軽い驚きのような物を感じ始めた時、ようやく、その深き闇の底を進む行為に終着点が示された。
再び、目の前に立ち塞がる鉄製の扉と、レンガ造りの壁。
その終着点を見つけた瞬間、何故か、自分の墓の上を誰かが歩いているような、そんなあまり気持ちが良い、とは言い難い感覚に囚われたのですが……。
しかし、それも一瞬。それ以後は、地下に相応しい静寂と澱んだ空気に相応しい世界が存在するだけで有った。
俺は、傍らに立つ湖の乙女が首肯くのを確認する。そして、最初の入り口の時のように魔法錠を無力化した後、物理的な南京錠を持って来たふたつ目の鍵で開く。
最初の時と同じように何の抵抗もなく、あっさりと開く南京錠。
きぃ、と言う、少し神経を逆なでするような金属の軋む音と共に開かれる鋼鉄製の扉。
その扉の向こう側には……。
我が贄と成るに値すると認められた者には、死も良心の呵責すらも存在しない、悦楽と、……そして、苦痛に満ちた世界が待ち受けて居るだろう。
かなり広い玄室。天井までの高さが三メートル以上。床の面積は、二十畳以上の広さは優に有るでしょうね。おそらく、この玄室にならば、二十以上の棺を並べたとしても十分お釣りが来るぐらいの広さは有していると思います。
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