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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第70話 王の墓所
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対して問い掛ける俺。
 どうも出だしから行き成り(つまづ)いて仕舞いましたが、それでも余り弱気な雰囲気を発する訳には行きません。

 そんな出来る限り虚勢を張っている、と言う雰囲気を発しないように少し苦労している俺に対して、かなり性格の悪い笑みを見せるジョゼフ(蒼い親父)
 この反応はもしかすると、そんな小細工など役に立っていない、と言う事なのでは……。

「そなたに、この世界で暮らすに相応しい名前を授けてやろうと思ってな」

 相変わらず性格の悪い笑みを浮かべながら、それでも割と真面な内容の台詞を口にするジョゼフ。
 確かに、このハルケギニア世界で暮らす為に、この国の王から名前を与えられるのは悪い選択肢では有りません。そして、王より直接与えられる名前と言うのは、それだけで大きな意味を持つはずです。
 これは今までは異邦人に過ぎなかった……。タバサの使い魔としてしか認知されて居なかった俺に対して、ガリア王国として正式なガリアの臣下としての立場が与えられる、と言う事に成ります。

 但し、同時に非常に嫌な予感が頭の隅から俺に対して警告を発して――

「ルイ・ドーファン・ド・ガリア。ガリア王国王太子ルイ。このガリア王国唯一の至高の名前だ」

 俺の嫌な予感が明確に言葉として発せられる前に、その嫌な予感通りの名前を口にするジョゼフ王。
 それに、このジョゼフ王の言葉は別に驚天動地の命令と言う訳では有りませんから。
 何故ならば、

「一時的に、王太子ルイの影武者として私を立てて置いて、時期が来たら陛下と入れ替わる。つまり、陛下ご自身が新たなるガリア王ルイとして即位し直す、と言う事ですか」

 目の前に立つ夜魔の王を瞳に映して、そう問い掛ける俺。
 そう。この目の前に立つガリア王ジョゼフ一世の生物的な種族は間違いなく亜人。俺の見鬼が告げる彼の種族はタバサと同じ夜魔の王たる一族。

 流石に、何時までも同じ王が在位し続ける訳には行きません。おそらくは、今までの王たちも、夜魔の王に覚醒した人間は今回と同じように身代わりの王太子を立て、自らの望む限り王位に有り続けたのでしょう。
 その為には、このガリアの王に権限が集まるシステムは非常に都合が良いですから。

 ガリカニズムでロマリアからの干渉を招く恐れは少ない。
 三部会は存在しない。貴族の代弁者高等法院も存在しない。
 ついでに、ロマリアから枢機卿も受け入れていない。

 まして、六千年と言う割には、先ほどまで赴いて居たガリア王家の墓所の規模が小さ過ぎるのも多少は気に成って居ましたから。

「別に、そのまま王に即位してくれても問題はないぞ」

 本当に王位の事などどうでも良いかのような雰囲気で、そう言う台詞を口にするジョゼフ。まして彼から感
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