第5章 契約
第70話 王の墓所
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堅く閉じる南京錠。そして、何らかの魔法の残り香のような物を感じる事が出来た。
この魔法の残り香は、おそらくハルケギニア世界のロックと言う魔法。そして、その魔法を施した上に鍵まで掛けて、この墓に葬られている人物を護ると言う事が、この墓の主の本当の身分を証明する事なのかも知れません。
確かに、オルレアン公自身が埋葬された時は、彼に謀反の疑いが掛けられて居た時ですから、おそらくは葬儀すらも真面に行われる事もなかったとは思いますが、副葬品に関しては別ですから。
王家の意志としては、将来的にオルレアン公の疑いを晴らす心算が有るからオルレアン公の不審死の直後にも、タバサやその母親に対して御咎めなしの裁定を下した可能性が高いのです。ならば、オルレアン公自身のお墓には、大国ガリアの王弟の墓に相応しい、普段彼が愛用していた物品などが副葬品として納められていると考えた方が妥当でしょうから。
つまり、当然のように、その副葬品を狙った墓泥棒の類が現れる可能性も少なくは有りません。
まして、ここは本来の王族の墓とは別の場所。ここには、警備の兵も見回りに来る事は少ないでしょうから……。
最初に、その術式が判らないロックの魔法を、ダンダリオンに教えて貰った初歩の禁呪。鍵を掛ける事を禁止する仙術で無効化。
そうして次に、固定化を掛けられて腐食する事の無くなった南京錠に、イザベラから借りて来たひとつ目の鍵を差し込む。
スムーズに鍵が鍵穴に納まり、金属が開く音と共に、南京錠が簡単に開錠された。
重い金属が軋むような音を発して扉を開いた瞬間、黴臭い澱んだ地下の大気と、遙か地下深くに続く坂が俺と湖の乙女の目の前に現れていた。
それぞれの肉体は試練を受け、その結果、快楽を感じたのならば、その者は我を受け入れる素養が有ると言う事なのだ。
「どうも、このハルケギニア世界に来てからの地下迷宮には嫌な思い出しかないんやけど……」
自らの傍らに立つ紫の髪の毛を持つ少女。実は水属性の精霊、湖の乙女に対して、少し冗談めかした台詞を口にする俺。
しかし、彼女は俺の瞳を見つめた後、微かに首を上下に動かす。
まぁ、こんなトコロにやって来た理由。あの夢の世界で出会ったタバサの妹らしき少女の抱えていた頭蓋骨の正体を調べる必要が有ったから、一般には知られていないオルレアン大公の墓地にまでやって来たのですから、こんな入り口でグズグズとしている訳にも行かないのですが。
当たり前の思考であっさりとその答えに辿り着き、
「我、世の理を知り暗闇を見る」
口訣を唱え、素早く導引を結ぶ。
そう。当然のように初歩の仙術の中には暗視の術も存在しています。その上、暗視の術を使用する方が暗闇……。光源の届か
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