本編 第一部
二章 「恋と危険は何故か似ている」
第五話「真剣勝負」
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まで本気を?
俺は頭からの落下を体をひねって、とんと足からうまく着地する。
「ほう、うまいな、猫のようだ。足腰はそうとう強いな」
俺もびっくりしてんだ、なんでこんな動きが、そういえばボクシングのジムのおやっさんやたら、投げられたり関節極められたりとかの対応も教え込まれていたっけ。
そうだ、おやっさんが教えてくれたのはボクシングじゃない。いろんなところで俺が因縁つけられても大丈夫なようにありとあらゆる攻撃方法の対応の仕方とそれに応じた拳の使い方。おやっさんはやっぱりボクサーだがおれの知る限りじゃあの人の拳が、他の武術に負けるところをみたことがない。どこかその立ち回りは拳というものを中心においた独特の実戦武術の匂いがあった。でまた、重心を狂わされてこんどは床に直接叩きつけるつもりだ。で叩きつけた瞬間にその膝が襲い掛かるってわけか、なるほど、おそろしく実践的な殺法の塊みたいな武術だ。そしてこの殺気、本気で殺しに来てる?
う地面は目の前だが俺はその一瞬を狙っていた。俺の頭をがっしりとつかんだその腕には飛び上がった全体重がかかっている。
だからおれは重心を崩して叩きつけられんとしているのだが、ここに隙がある。全体重のかかったここに両手で挟むように拳を打ち込むそして、独特の手の捻りをねじ込む。完全な逆方向への二つの螺旋は相乗効果で体重がかかって外せない腕にのしかかる。
そう、拳を中心においたこの独特の実戦武術の最初の目的が敵の武器破壊だった。そしてこのじいさんの武器はその腕と足。この技はふつう、刀や薙刀で攻撃してくる相手の刃を白刃取りで取ってこの技で壊すという流れをとる。
それを相手の一番の攻勢のときにする。
っく小僧!わしの腕を砕くとはだがこの勢いはとまらんぞ?
それも計算づみだ、腕が多少でもずれてくれれば勝機はあるのさ。
その投げ技には一つ荒いとこがある。それは腕でごういんに地面にたたきつけようとするわざそのものの荒さ。たしかに食らったことがないし、こんなふうにすばやくやられちゃ、たいていの奴は死ぬ。
だが腕の骨の形状上どうしても弱いところがある、それは腕は内側に曲がるということだ、そしてこの技の最大の難点叩きつけられる相手は両手が自由に使えるということ。俺は、右フックをまっすぐじいさんのあごに当ててその瞬間にねじりこむ、まずあごを捉えた一撃でひるませ、そして左手を引き絞って手刀受けの要領でつかみ間接を左内側から最大の速さで極める。関節は曲がるようになってるから当たり前のようにカックンと思わぬ形でごく自然に腕は曲がった、そうともすれば叩きつける勢いもなくなる。かえって膝を頭に落とすために空中にいるじいさんのほうが隙だらけだ。しかしじいさんの下にいることにかわりなくいま、頭じゃなく腹にでも膝を入れられれば間違いなく死ぬ。
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