十一日目 十二月一日(木)後編
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ー。僕の凄さはあのアインツベルンだって認めてるんだ。返り打ちにしてやるよ」
「……アインツベルンか、余の盟友に変な事をしたのは」
黒幕の名前を知り、ライダーの顔が凄味を増す。それを知ってか知らずか、少年魔術師ウェイバーは、相も変わらず勝利を確信しているかのような自信満々な態度で叫ぶ。
「今見せてやるよ。最強のサーヴァントをね。我、ウェイバー・ベルベットが命ずる。来い、バーサーカーっ」
黒い魔術師の足元に漆黒の穴が広がった。そして穴の中から、深紅の大鎧に身を包んだ騎士が現れた。頭も血の色をしたフルフェイスの兜で覆い、性別は伺いしれない。兜の中から覗くのは、憤怒に染まった赤い瞳。腰には、血の色に染められた長剣を佩いている。
「邪魔モノ、コワス、コロス」
ランサーとセイバーも、バーサーカーから発せられる魔力の凄まじさに、改めて武器を構える。
「バーサーカー、三人まとめてぶっ潰せっ!」
紅い狂戦士が緋色の剣を構え、突っ込んできた。
気が付けばもう時刻は夕方。太陽の断末魔のような夕日が辺りを赤く染め始める。だがポンプ小屋周辺を赤く塗り替えているのは、夕日だけでは無かった。
「ふん、坊主が大口叩くだけはあるようだな」
「炎を操るというわけね。狂化しているのに、器用な事」
「大した剣の腕だ。こちらも本気でいかせてもらうっ」
バーサーカーは自らの鎧と剣に、禍々しい炎を纏いながら猛烈な攻撃を繰り出していた。バーサーカーが飛び回り、剣を振るう度、火の粉が激しく飛び散る。3人のサーヴァントを同時に攻めているというのに、戦況はバーサーカーが優位に立っているように見えた。
「へぇ、あの赤い子、やるわねぇ」
「三対一なのに、相手が有利って……。どんなラスボスだよっ」
「うー、ラィラィ、負けたら、みゃー承知しないんだからっ」
マスター達が固唾を飲んで戦況を見守る。彼らは、始めて出会う本物の魔術師とそのサーヴァントの迫力に、飲み込まれていた。
今やセイバー、ランサー、ライダーは巨大な脅威に対処すべく、連携して戦っていた。だがバーサーカーの暴力的なまでの剣撃、神速の立ち回り、燃え盛る獄炎は、全てを跳ね返した。
セイバーとランサーが、クラス特性である高い魔法防御を生かし、バーサーカーの炎を弾きながら接近戦を挑む。息を付かせぬ剣と槍の波状攻撃。両手で長剣を握ったバーサーカーが神速の剣捌きで、二人と切り合う。
「手加減無しで行くぞっ。『神威の車輪』よ、ゼウスの力を身に纏えっ。粉砕しろっ。遥かなる蹂躙制覇!」
天駆ける猛牛の大戦車が、暴れ狂う雷を放ち始める。暴力的に輝く、光る戦車が超高速で、バーサーカー目がけて走り出す。その様は、破滅を抱いた彗星か。はたまたギリシャ神話に語られしゼウスの振るう神雷。聖書で、堕天使の大軍勢を一撃で粉砕した
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