十一日目 十二月一日(木)後編
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女神の表情は、純一の単純な心をとろけさせるには十分だった。
「デレデレしないでっ」
美也の表情がますます険しくなった。
そんなマスター達を尻目に、サーヴァント達の間にはやや緊迫した雰囲気が漂っていた。
「ようぉ、ランサー久しぶりだな。また会えるとは嬉しい」
「人の勝負を何回邪魔すれば気がすむ。我慢もそろそろ限界だぞ」
睨んではいるが、口元には微笑を浮かべるランサー。呵々大笑を返すライダー。共に前回の聖杯戦争で相争ったサーヴァント同士。再び相見えた偶然を、お互い、女神の紡ぐ運命のようにも感じるところがあるのだろう。
「そっちは初顔だな。我が名は征服王イスカンダル。世界を我が手に収める為、この世に肉体を伴って現界するのが我が願いよ」
「サーヴァントなのに、いきなり名乗る? あなた馬鹿なの?」
目を細め、心底ありえないと呆れ果てたような顔をするセイバー。
「女だてらに、大した気風だ。気に入ったぞ」
「全然嬉しくないんだけど」
セイバーの顔が凄味を帯びる。そんな彼女を見て大笑いしたライダーは、ニヤッと笑った後、改めて二人のサーヴァントに向き合った。
「まず問おう。セイバーにランサー、我が軍門に下る気はないか? 共に世界を征服しようではないかっ」
赤髪の大男が、豪快な身振り手振りを交えて熱く語る。
「またそれか、いい加減にしろ。その気はない」
「興味無いわね」
今度は本気で睨みつけるランサー。セイバーはいつでも攻撃に移れる姿勢を取りながら、また目を細める。一瞬即発の場。だが場を動かしたのは、更なる乱入者だった。
「サーヴァントが三人。まとめてしとめるチャンスだっ」
現れたのは黒いマントを羽織る、顔に刺青のような模様がある少年。
「お前、坊主っ」
彼を見てライダーが顔付きを変えた。何か癇に障ったのか、少年が血相を変える。
「もう坊主じゃないっ。僕、ウェイバー・ベルベットは時期にロード・エルメロイの名を受け継ぐ。もう誰も僕を馬鹿になんか出来ないっ」
形相を変えた少年に対し、ライダーが大きな溜息を付いた。
「お前言ってる事が、昔と変わっとらんぞ。まったく……」
ランサーが近づいてきて、ライダーにそっと囁いた。
「顔を良く見ろ。魔術装飾を施されている。あいつ、洗脳されているぞ」
ライダーの表情がすぅっと真剣なものに変わった。
「……おい坊主。お前なんでまた聖杯戦争に参加した?」
「決まっている。僕が成長した事を証明するためだっ!」
「どうやら、びしっとやってやらにゃ、解んないみたいだな」
ライダーが美也に降りるように言い、戦車の手綱を改めて握りしめる。
真剣なライダーの表情に、美也は心配そうな顔を向けながら戦車を降りた。
ウェイバーが不敵な顔付きで迎え撃つ。
「こいよライダ
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