十一日目 十二月一日(木)後編
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筈。それなのに、敢えて戦い方を変えて来たという事は、秘策がある、か。なら、やられる前にやるしかないわね)
セイバーが剣をふるいながら何事か呟き始める。すると次第に剣が不気味な紫色の光を放ち始める。異変に気が付いたランサーが距離を取る。
「あなたがその気なら、まずはこちらから行かせてもらうわ」
「宝具を開帳するか。受けて立とうセイバー」
「そのセリフ、男らしいとは思うけど後悔するわよ」
セイバーが、剣を構えて突撃する。身体能力の強化により、セイバーの動きが加速していく。
(接近戦用の宝具という訳か。なら好都合。こちらも決めさせてもらう)
ランサーが右手に持った紅槍ゲイ・ジャルグに力を送り、目覚めさせる。
(初撃で心臓まで貫く。攻撃に転じて来たのなら、機会は必ずあるっ)
二人のサーヴァントが咆哮を上げながら激突する寸前、天空で第三者が吼え、稲妻を纏った塊が二人の間に割って入って来た。
「アラララララィィィィィィッ」
「な、なんだっ」
「わぉ、おっきな牛さんねー、すごいわぁ」
にこにこ笑いながら森島はるかが、純一のとなりに寄って来る。
素早く後退した二人のサーヴァントが、勝負に茶々を入れた邪魔者を睨みつける。
「またお前か、ライダーっ」
「いったい、どういう事かしら」
現れたのは巨牛の引く大戦車に乗った、赤髪の大男。精悍な顔立ちに野心に滾る目、筋骨逞しい身体付き。大男が豪快に口を開けて、二人に向かって叫んだ。
「双方、武器を引けいっ」
「にぃにも、森島先輩から離れてっ」
戦車の中から、ぴょこっと顔を出した少女が、しかめっ面で純一を睨みつける。
「み、美也っ。お前、なんで」
「にしししし。にゃーは、ラィラィのマスターになったんだよ」
大男が、純一の方を見て破顔する。
「おお、お主が我が同胞の兄上か。我が名は征服王イスカンダル。かの娘御とは、共にオケアノス(最果ての海)を求める間柄よ」
「そのとおり。ラィラィとはオケアノス(ボンッ、キュゥ、ボンッ)を求める間柄なのだ」
鼻を高くして偉ぶる美也は、正に虎の意を狩る狐だ。
「美也ちゃんうらやましぃわぁ。あーん、私も乗せて乗せてー」
目を輝かせるはるかとは対照的に、純一は訳が解らなくなりかけていた。
(ラィラィって、あの大男ことか? あいつ、サーヴァントだよな。なんでまた美也が)
「にぃにったら、森島先輩と仲良くなりたいから、せーはいせんそーってのに参加したんでしょっ」
美也が謎解きをする探偵のような格好をして、さも解った風に言う。だが表情は頑なで、怒っているようだ。
「いや、僕は巻き込まれたというかなんというか」
「そうだったのっ。照れるな―、このこのぉー」
少し頬を染めたはるかが、笑みを浮かべながら純一を肘で軽く小突く。赤くなった
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