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ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第53話 入学準備もトラブル続き 前編
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題ない。

「錬度も数も衛士隊の方が数段上です。すぐに終わるでしょう」

「ほ 本当?」

「はい」

 私が断言すると、アンリエッタ姫の顔から悲壮感が消えた。

 ……それほど時を置かずに、外の争う音は消えた。襲撃犯は取り押さえられ、今は衛士隊とアニエス達が周りの警戒を始めている。

「先に馬車を降ります。もう少し我慢して下さい」

 覗き窓越しに陛下を心配する姫に、飛び出さないように注意する。そこにアニエスが駆け付けて来た。

「姫に怪我は?」

「ありません」

 私も馬車の外に出て警戒するが、新たな襲撃者は居ない様だ。

 やがて一人の衛士がこちらに来て「もう大丈夫ですよ」と宣言する。その言葉を待っていたとばかりに、アンリエッタ姫が馬車の外へ飛び出した。

「お父様!!」

 この時油断が無かったとは言わない。だが、まさか衛士隊の中に裏切り者が居るとは思わなかった。

「おい!! おまえ。何をしている!!」

 最初に気付いたのは、裏切り者の一番近くにいた衛士だ。しかし、その声が響いたのは、魔法の完成と同時だった。

 発動した魔法は、エア・カッター。狙いは陛下。射線上には誰も居ないので、誰かが盾になる事は不可能。当然、防御魔法も間に合わない。

 そこまで判断出来た所で、私はアロンダイトの鞘を陛下に向かって投げていた。

「守れ!!」

 私の叫びと共に、鞘に仕込まれた《障壁》が発動する。

 結果は……土埃の所為で、直ぐには確認出来なかった。だが、それを気にしている余裕はない。裏切り者の次のターゲットが、アンリエッタ姫だからだ。私とアニエスが裏切り者と姫の間に割り込み、自分の体を盾にする。事態が事態なので、アロンダイトの魔法吸収能力を使うのも仕方がない。

「エア・カッター」

 私が構えると同時に、裏切り者の魔法が完成する。

 ……だが魔法は私達をそれて行った。よく見ると、裏切り者は数メイル離れた位置に転がっている。ウインド・ブレイク等の魔法で吹き飛ばされ、気絶したのだろう。狙いがそれたのは、撃つ瞬間に魔法を当てられたからか。

「助かった……様だな」

 アニエスの口から、そんな言葉が漏れる。今の魔法を生身で受ければ、先ず助からない。私の装備なら死ぬ事は無いだろうが、それも露出した頭にあたらなければの話だ。魔法の直撃など、間違っても受けたくは無い。

 姫に怪我がない事を確認すると、陛下の下へ行くと言うのでついて行く。どうやら陛下の方もご無事の様だ。

 ようやく一段落つける。安心した所で、先程助けてくれた人が気になり周りを見渡す。すると一人の衛士が、こちらに軽く手を振っていた。訓練所で何度か見かけた事があるが、名前が分からない。それ
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