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トリスタンとイゾルデ
第一幕その二
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を持っている。
「クルヴェナール殿」
「よいですか、ブランゲーネ殿」
 ブランゲーネにクルヴェナールと呼ばれた彼はさらに言葉を続けてきた。
「コーンウォールの王冠とイングランドの富をアイルランドの姫君に委ねられる役をされるトリスタン様はそのアイルランドの姫様の意のままにはなりません」
「それはどういう意味ですか?」
「トリスタン様は王の甥です」
 それだけ高貴な者というのだ。
「そのトリスタン様はコーンウォールの名誉そのものですから」
「だから従えないと」
「クルヴェナール」
 トリスタンは彼の言葉を目で制しようとするがクルヴェナールはさらに言葉を続けるのだった。

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