奪われた者、奪い返す者〜
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りつけるが思春はそれを避ける。逆手に鈴音を持った思春がそれを逃さずに首を狙うが、それはそのままの勢いで前転して避け、肩を狙って踵落としを放つ、だがそれは左手に掴まれる。
「げっ・・・わっ!?」
そのままぶん投げられ、空中で体制を立て直す前に飛び蹴りを食らった。
「がはっ・・・」
そして思春は右から鈴音を振ってくる。
「くっ!」
ガァン!
それを防いだのだが、無理な体制だったため、迷切が手から離れてしまった。
「く、この!」
バック転をしながら蹴り、距離を取ろうとするが・・・彼女がそれを許す筈がなかった。
「ふっ!」
「っく・・・」
蹴りに怯まずに思春は突っ込んでくる。俺は素早くスペルを詠唱する。
「ーーーー!」
「くらえ!」
ガキィン!
・・・思春の一撃は、俺の腕から伸びた光の爪で防がれた。腕と足にそれぞれ光の爪が現れている。
「ビーストアーム、ビーストレッグ・・・獣双剛爪激の代わりだ」
そのまま腕を引っ掻くように振るがそこは素早く身を引き、思春は回避した。だがここで余裕を与える訳にはいかない。俺は踏み込んで回し蹴りを放つ。
ズガァ!
「・・・!」
爪で切り裂こうと思ったのに、今度は前に出て自らダメージを減らした。・・・ああ、ここまで思い通りにいかない戦闘は懐かしい。何時も彼女との鍛錬はそうだった。こっちの技が直撃することなんて稀だった。正直に言えばトータルの勝率や技の当て具合は彼女に完敗しているのだ。
「(だからって今回も負ける気はないけどな・・・)」
蹴りと拳のラッシュも全て打点をずらされて捌かれてしまう。その繰り返しは、俺の魔法の効果が切れると同時に終わった。光の爪が点滅して消滅する。
「あっ・・・!」
「そこだ!」
咄嗟に腕を交差させて葬解で防ぐ。
ガギン!
「っとぉ・・・」
わざと後ろに吹っ飛び、今度はきちんと間を取る事ができた。
「ああ・・・ホントに、思春は強いな・・・」
左手で擬音を握り締める。
「洗脳されても思春は思春だな・・・」
あの動き・・・隙あらば確実に首を狙いに来る技・・・この世界じゃ首に当たった位じゃ死なないのに。それを分かってる筈なのに・・・
「(体が覚えてるってことか・・・)」
ほんの少しだけ、嬉しくなった自分がいた。二度と会えないと思っていた少女が目の前にいる。俺はずっと鍛錬をしていた時を思い出していた。
「・・・」
彼女の洗脳は今までのに比べれば楽な部類だろう。彼女の記憶に訴えかけるような戦いをすれば・・・きっと・・・
「頼むぜ・・・擬音・・・」
チリン、鈴がなる。この鈴音に極限まで似せた擬
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