第四十四話〜家族の役割〜
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す。
カップに入れられ、運ばれたその液体をライは受け取り、2人はほぼ同時にそれを口に含んだ。
「……うん、やっぱり美味しい」
「これでも、料理は得意やから、結構優良物件やで?」
いつものはやての軽口。この後、普段のライであったなら何気ない切り返しではやてを赤面させたりする(そのやり取りがはやては実は大好き)のだが、今日のライは事情が違った。
『お母さんは誰なのかなって』
はやての言葉を聞いてライの脳裏の食堂での遣り取りが過ぎる。これまでは意識しなかった分、今目の前にいるはやてがとても魅力的に見えてライは赤面した。
「ぇ……ぁぅ……」
そのいつもとは違うライの反応が心配だったのか、はやてが様子を見るためにライに近づく。
「どないしたん?」
下から見上げるようにしながらはやてはライに問いかける。だがライは動揺していて、それどころではなかった。
半ばパニック状態になっているライは、ごちゃごちゃになっていく思考を振り切ってある選択を下した。
「……………少し用事があるから僕はこれで」
ライが選んだのは戦略的撤退であった。
早口でいつもよりも声のトーンがおかしくなりながらも、一言はやてに断りを入れてからライは足早に隊長室から出て行った。混乱していても律儀なライであった。
機動六課・廊下
『変だおかしい何故?何が?誰を?』
自分の心の中で浮かんでは消えていく疑問の数々。それについて一つ一つ回答することもできずに、ライは廊下を進んでいく。この時点でマルチタスクを使用することを思いつくことができないほどに、ライは動揺していた。
それでも自分を落ち着かせようとしていたのか、ライは目を閉じて少しでも自分の処理する情報量を少なくしようとしていた。
だが、それがまずかった。目を閉じ、自分の思考の海にドップリ浸かっているライは普段であれば、必ず気付いていた人の足音に気がつかなかった。
ライが廊下の曲がり角に差し掛かった時、その曲がり角から2人の人影が現れる。その現れた2人も話し込んでいたのか、ライの存在に気付かなかった。
「え、うわっ――」
「「え、キャッ――」」
お互いの存在に気付かなかった事と、ライがいつもよりも早く歩いていたためにそれなりのスピードが出ていたこともあり、3人はそのまま倒れこむ結果になった。正確にはライがその2人を押し倒すといった感じであるが。
「つぅ〜〜」
「いたたた」
「なんなの〜?」
三者三様の反応をしながら、各自自分が今どんな状況になっているのかを確認する。そしてライは今度こそ本当に何も考えられなくなる。
「………………え?」
「うん?」
「なにぃ?」
ライが
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