第四十四話〜家族の役割〜
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めのコンソールに触れると扉は何の抵抗もなく開いた。
その事に驚きながらも、部屋の中を確認するとライの中にあった疑問が氷解した。
はやての机の上には以前と同じく紙の山があった。だが前と違うのはその紙に囲まれ、上半身を机に預けるようにして眠るはやての姿があることである。
(仕事が多いから、無理もない……かな?)
机に重ねられている紙の束を見ながらライは苦笑いしていた。
はやてを起こすのも忍びないと思い、自分にできることからやっていこうと考えたライは重ねられている書類に手を伸ばす。そして手にした書類から目を通していくとあることに気付いた。
「…………できてる」
ライが手にした書類は完璧に仕上げられていた。まさかと思い確認すると、机の上にある書類の九割は仕上げられている状態であった。
(頑張ったんだ、はやて)
そう思いながら、できていない全体の残り一割にも満たない書類を持つと、ライは隊長室にあるもう一つの机に座り作業を開始した。
これまでと違い圧倒的に量の少ない作業は一時間程で終了し、ライは手持ち無沙汰になっていた。
(はやてを起こすわけにもいかないし…………どうしよう)
「ん………ライ君?」
タイミングよくはやてが目を覚ましライの方に視線を向けてくる。起きたばかりで視界がはっきりしないのか、はやてはしきりに目を擦っていた。
「おはよう、はやて」
「うん…おはよう…………!」
寝起きでぼんやりしていた頭がクリアになったのか、はやては慌てた顔をし始めた。
「今日は約束の日だったから、来たんだけど………大丈夫?」
「え、あ、あはははは、そうやったな、大丈夫、大丈夫」
どこか自分を落ち着かせるようにそう言ってくるはやては、いそいそとチェスの道具の一式を取り出していた。
そしてそれからすぐに2人は対局を始めていた。
最近では、ライの予測した棋譜をそれなりに超えることが出来るようになってきたはやてとティアナは今では対局でライを負かすことが目標になっていた。
と言っても、ライの予測を超えることができるのは、はやては三回に一回、ティアナは五回に一回という頻度で、その新しい目標も2人が密かに決めたことであり、ライ本人は知らなかった。その為、今でもライは対局の途中で棋譜を書く事をしている。
「チェックメイト」
「………あぅ〜〜、またまけてもうたぁ〜〜」
机に突っ伏しながらそういうはやてにライは苦笑で返した。
「少し、休憩しよう」
「……そやね、またコーヒー入れてくるわ」
そう言うとはやては初めてライが書類仕事を手伝った時のようにコーヒーを入れる。この部屋へ、仕事があるたびに飲むコーヒーの嗅ぎなれたその香りが部屋を満た
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