第五話 コンビニ
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「よぉ、おかえり」
「うぐっ、人が、音が、死体が……」
「わかったから少し落ち着こうか」
黒野を近くのベンチに座らせる。ずっと見ていると黒野も落ち着かないと思うので何か飲み物を買ってきてやることにした。岸本が行きそうになるのを止めて、俺が行くことを伝えた。
岸本と黒野を二人っきりにするのは少しどうかと思ったが、岸本は落ち着いてきたようでどちらかというと黒野のほうが心配だ。みっともない姿を見せ付けることになるが、弱い所を見せるのもいいと思う。
「自販機ねーしなぁ……お、コンビニあんじゃん」
ズボンを岸本に貸していた事を忘れていて、取りに戻るのに少し時間がかかった。
「あれ、開かない?」
何処にでもある普通のコンビニ。中は明るいし店員も客もいる。だけど、開かない。
すると中から会計を済ませた客が出てくる。なぜか普通に開いた。ぶつかりそうだったのでさっと避けてから中に入った。
「つーかこの格好、大丈夫だよな……俺が店員だったら通報するけど……」
今はこのコスプレのようなぴったりとしたスーツだけを着ている。ジャケットは加藤の学ランとセットで岸本が着てるし、下も岸本に貸している。交番の前を通ったら確実に呼び止められる自身しかない。
「さっと買って行くか」
黒野は汗をかいていたから飲みやすいスポーツ飲料でいいだろう。岸本は紅茶系でいいな。俺は水でいいや。あいつ等に少し軽めの食い物も買ってやるか。あとタオル。お金足りるかな?
レジも混んでいなかったのでレジに商品を置き、待つ。だが店員はレジのお金を数えていて俺に気づいていないようだった。
「すいませーん」
少し商品を前に出しながら言うと、ようやく気づいたようだ。商品に気づき、頭を下げて、いらっしゃいませと言った。
「へ?」
頭を上げた後、俺を見たが驚いているようだった。こんな服してるし当然だが、通報されたら嫌なのでさらに商品を前に出して睨み付けた。
「うひゃぁぁああ!」
店員は、奇声をあげながら逃げていった。それを唖然としながら見送るしかなかった。
「ってやばい、通報される!」
中に入り、手際よくレジを済ます。袋を数枚取り、商品を抱えながら出口へと向かった。
「よかったぁ、コンビニバイトしといて……」
竜夜は学生のころ、よくアルバイトをしていた。メジャーなコンビニならほぼレジに立った経験が生かされていた。
あとは逃げるだけ、と思っていたがまたドアが開かない。どうなってるんだここのコンビには!
「ぬぐぉおお!」
迷った末の、力まかせでドアをこじ開けた。力を入れるとすぐ開いたので駆け足で逃げる。本当なら少し遠回りしながらあいつらの所へ行きたいが、
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