―デッキとは―
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デスデュエルが導入されてからしばし経つと、留学生やプロフェッサー・コブラがいることも慣れ、彼らは特に何事もなく日常に溶け込んだ。ジムが何やら化石を掘っていたり、オブライエンが木に吊されていたりしているが、それを見ても驚かなくなったという点では。
あの日のマルタンのデッキ構築案はレイとマルタンと三人で考えつき、マルタンが「後は自分でやる」と言った為に、あのグループは解散となった。どんなデッキが出来上がるか、少し楽しみにしている。
そして俺の場合、人のことばかり気にしてられないのが現状である。機械戦士たちの特色が無くならず、そのサポートに回るようなカテゴリーは、なかなか見つからなかったからだ。
マルタンのようにデッキを一から作ってみる方がよっぽど楽かもしれないこの作業、手伝ってくれている為に付き合わせている明日香に、かなり申し訳がたたなかったりする。彼女は主軸の《サイバー・ガール》たちをメインに、サポートとして他の戦士族と天使族が入っているという、俺の【機械戦士】の理想型に近いデッキ構成なのだが……
「うーん……」
「難しいわね……」
オベリスク・ブルー寮の俺の部屋で、二人して頭を抱えていた。幾つかの候補は挙がったものの、そのどれもが『イマイチ』という評価となっている。
「明日香、もう時間も遅いだろ。そろそろ帰った方が――」
「嫌よ。遊矢のデッキをこのままにして帰れないわ」
相変わらず変なところでプライドが高い女王様を、その居住たる女子寮へと帰そうとしていた時、俺の部屋のドアが勢いよく放たれた。
「え、ルビー、この部屋違うって? もう少し早く言ってくれよ……」
いきなり他人のドアを開け放ち、いきなり虚空に向かって喋りだす来訪者に、俺は少し身構えた。しかし、あの相手にはそんな警戒は必要ないと、何回か十代から聞いている。
「ヨハン・アンデルセン……」
留学生の一人であるアークティック校チャンプ、ヨハン・アンデルセン。伝説のデッキ【宝玉獣】を使っており、十代とは早くも意気投合していた。
「悪い悪い、俺方向音痴でさ。君たちの邪魔をするつもりじゃ……うん?」
邪魔をするつもりじゃないと言ったにもかかわらず、そのままヨハンは部屋に立ち入ってくると、俺と明日香の顔を凝視した。
「もしかして、遊矢と明日香って奴か? いつも一緒にいる強い奴って、十代が言ってたぜ」
「な、なに言ってるのよ十代!」
こんなところで騒いでても十代には聞こえないぞ、明日香。ヨハンに「そうだ」と答えると、ヨハンははちきれんばかりの笑顔で応えてくれた。
「ああ! それじゃデュエルしないか? ……っと、でも、デッキの調整中みたいだな……」
「いいや、そろそろ終わりにしようと
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