裏通りの鍛冶師
とあるβテスター、手を握る
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─」
これも、違う。わかってる。こんなものは、僕の勝手な思い込みだ。
彼と少し話してみれば、誰にだってわかる。クラインは、そんなことで人を嫌ったりするような人間じゃない。
自分の友人に殺人の容疑がかけられたら、周りが何と言おうと、最後までその友人を信じるような───そんな、超のつくようなお人よしタイプだ。
「クラインくんは、そんなこと言わないよ。キリトくんもあっちゃんも、ディアベルくんもエギルくんも、りっちゃんだって。そんなこと言わないでしょ?」
「……うん」
そんなことは、僕だってわかってる。
クラインだけじゃない。キリトもアスナもエギルも、立場上の都合があるであろうディアベルですらも、何だかんだと僕の身を案じてくれている。
超がつくほどの、笑ってしまいたくなるくらいのお人よし。
そんなみんなだから───だから?
そんなみんなだから、どうなんだろうか。
そんなみんなだから、僕は彼らを遠ざけているのか。
そんなみんなに、みんなの存在に、感謝しているのに?
一緒にいてくれて、こんな僕にも分け隔てなく接してくれて、それが嬉しいのに?
それは……矛盾、してないか?
「僕、は……」
僕は、一体何がしたいんだろう?
嬉しいはずなのに、人と関わり合いを持ちたいと思っているのに、関わらないようにしている。
そんな、矛盾した行動を取ってしまう理由は。
それは───
「ねぇ、ユノくん。怖がっちゃだめだよ」
「……こわ、がってる?」
「うん。あの時からユノくん、人と関わるのを怖がってるもん」
「あ……」
───そう、か。
みんなのことが嫌いなわけじゃない。だけど、遠ざける。
みんなと関わり合いを持ちたい。だけど、持ちたくない。
そんな、矛盾した行動を取っていた理由。
自分でも気付かなかった───否、考えないようにしていた。
僕は───怖かったのか。
僕と関わってしまったことで、彼らまで周りから後ろ指をさされてしまうことが。
僕の知らない時間、知らないところで、彼らが辛い思いをして。
僕と関わらなければよかったと、彼らに思われてしまうことが。
それが、怖かったんだ───
「怖がっちゃだめ。このままだと、ずっとわたし以外の人と関われなくなっちゃうよ?」
僕は──それでも構わないと、思っていた。
他の誰を敵に回そうと、何があろうと、この子だけは守ると決めたから。
そう思って、あの日から今日まで生きてきた。
「もし、わたしがいなくなったら。ユノくん、ひとりになっちゃうよ?」
それなのに、なんで。
どうしてそんなことを、言うんだろう?
僕が、このまま誰とも関わりを持たないようにしていたとして。
もしも──万が一にでも、シェイリが何らかの理由でいなくなってしま
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