裏通りの鍛冶師
とあるβテスター、手を握る
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」
「ユノくん、友達すくないもんねー?」
「っ!?そんなことはないッ! ……はず……」
いや違うんだ僕は友達が少ないんじゃなくてあえて作らないってだけであってそもそも僕みたいな奴が友達なんて作っていいのかどうかわからないっていうか大体僕なんて仲間殺しで元オレンジで投刃で───
「あ」
───っと、そういえば。
一番肝心なことを、まだ聞いていなかった。
「……ねぇ、シェイリ」
「なーにー?」
「君はさ、あの時どうして───」
───どうして、僕が逃げられないようにしたの?
────────────
思えばおかしかった。
最初は、いつものマイペースが発揮されただけかと思っていた。
だけど、シェイリの性格からしてそれはない。
この子は空気が読めていないように見えて、実は細かい気配りもできる子なんだ。
そんなシェイリが。
あの第一層のボス攻略戦以来、“人前では僕のことを名前で呼ばない”はずの彼女が。
あえてクラインの前で、僕の名前を呼んだ理由。
「んー?」
「大丈夫、怒ってないから。でも、理由だけ教えてほしいな」
「……、そっか」
それはきっと。
僕が人との関わりを避けようとすることを察して、その上で尚、彼との繋がりを持たせようとしていたんだろう。
だから、あのタイミングでわざと僕の名前を呼んだ。
クラインと必要以上に関わるまいとしていた僕に、交友関係を持たざるを得ない状況を作り出した。
顔と名前を憶えられてしまった以上、彼の性格からして否が応でも友好的に接してくることは想像に難しくない。
あの時シェイリが割り込んできたことで、僕が考えていた逃げ道は全て塞がれてしまっていたというわけだ。
───だけど、どうして。
どうしてシェイリは、そうまでして僕とクラインに関わり合いを持たせようとしたんだろうか。
それが、僕にはわからない───
「ユノくんはね、怖がりだと思うなー」
「……怖がり、というと?」
「わたしの時もそうだったけど、自分はこうだからーとか、巻き込んじゃうからーとか。いろいろ、考えすぎだと思うな」
「………」
そう──なんだろうか。
僕は、考えすぎなんだろうか。
でも、そうでもしないと。
僕は僕が思っている以上に、周りの誰かを不幸にしてしまうかもしれない。
僕と関わってしまったことで、僕の知らない時間、僕の知らないところで、誰かが傷ついてしまうかもしれない。
だって、僕は。
「だって、僕は───」
「《仲間殺し》、だから?」
「──っ!!」
「あのね。前にも言ったと思うけど、それはベータの───体力がゼロになっても、人が死ななかった頃のお話だよね。今とは違うよ」
そうだけど。
そう、なんだけど……!
「
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