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とあるβテスター、奮闘する
裏通りの鍛冶師
とあるβテスター、手を握る
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くん!」
「く、クラインくん!?おいおい、勘弁してくれよぉ!」
年上でも構わずにくん付けで呼んでしまうシェイリに、風林火山のメンバーたちの間で笑いが沸き起こる。
相変わらず初対面の人間相手でも自分のペースを崩さないところは、もはや彼女の長所ともいえるかもしれない。

……だけど。

「わたし、シェイリ。こっちはりっちゃん。リリアっていうんだよー」
「ばっ……!?」
「リリア……?そりゃ、こっちのイケてる兄ちゃんの名前か……?」
「そうだよー?」
一見、いつものマイペースっぷりを発揮しているだけだ。
でも、何だろう。何か違和感がある……。

「ク、クソガキィィィ!いきなりばらしてんじゃねーよ!」
「えー?りっちゃんはりっちゃんだよー?」
「……、あー……えっと。なんだ、その……、変わった名前…だな?」
「気ぃ使ってくれなくて結構だよ畜生ッ!どうせ俺は哀れなネカマ野郎だよぉぉぉ!!」
気まずそうに目を逸らすクライン。
真っ赤な顔で絶叫するリリア。
いつも通りのシェイリ。

そう。いつも通りだ。
僕にとってはもはや見慣れた光景。別段、違和感を感じるようなことは何もないはずだ。

……それなのに。僕は一体、何が引っかかってる?
今までだって、こういうことはあったじゃないか。

シェイリと知り合ってから今日に至るまで、こういったことはそれこそ何度もあった。
一番記憶に残っているのは、第一層のボス攻略会議が初めて開かれた時だ。
パーティ編成も具体的な役割の分担も決め終わって、あとは解散するだけといったタイミングになって、シェイリが初めて口を挟んだ。
一瞬で場の空気を凍らせたシェイリに、僕も肝を冷やしたっけ。

だけど、あの時のシェイリの発言は結果的に間違ってはいなくて。
空気が読めていないように見えて、たまに的確なことも言うんだなぁなんて、僕は密かに感心して───

───あれ……?


「そうすっと、ユノってのがおめぇさんの名前なんだな?」
「──えっ?あ、えっと、はい……?」
と、何かに気付いたような気がした瞬間。
クラインが突然話題の矛先を戻してきたため、僕は咄嗟に反応ができなかった。

「おいおいどうした?おめぇさんの名前だよ、名前。ユノで間違いないんだろ?」
「そう、ですけど……」
「シェイリにリリアにユノだな。おっし、覚えたぜ!」

───ああ、まずい。

適当に話を濁して、この場を去るのが最善だったはずなのに。
そうすれば、彼らは余計なことを───《仲間殺し》なんていう人間が攻略組に紛れ込んでいることを、知らずに済むというのに。
顔と名前を、覚えられてしまった。

「いやー、最近になってようやくボス攻略に参加できるようになったのはいいんだが、オレの知
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