裏通りの鍛冶師
とあるβテスター、手を握る
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ったとしたら。
その時、僕は一人だ。
彼女以外の誰とも関わりを持っていないのだから、当たり前といえば当たり前なのだけれど。
───だけど。
だけど、それがどうしたというのだろう。
現に今、こうして僕の前にはシェイリがいる。
夢でも幻でもなく、シェイリという一人の人間が、僕の目の前にいる。
それだけで、僕は戦える。他の誰を敵に回そうと、何を切り捨てようと。《投刃のユノ》として、この世界を生きていくことができる。
───なのに、どうして。
どうして君は、そんな───
「ひとりは……さみしいよ」
「っ!!」
その言葉に、ハッとなって。
僕は逸らしていた目を、シェイリへと向けた。
彼女がどういう顔をしながら、そんなことを言ったのか。
それを……確かめたかった。
「──と、いうわけで!ユノくんはもっとお友達を作るべきだとおもうんだよー!」
……だけど、僕が目を向けた時にはもう遅くて。
いつものふにゃりとした笑顔を浮かべたシェイリと、目が合った。
さっきまでの、重くて硬い雰囲気は。彼女の顔のどこを探しても、見当たらなかった。
「ね、ユノくん。いっしょにがんばろー?」
「………」
そう言って、シェイリは笑う。
いつも通りの、彼女の笑顔。
いつ通りの───はずだ。
「……、努力、する……」
「うんうん、えらいえらいー」
だけど、そんな彼女の笑顔が。
いつか突然、僕の前から消えてしまいそうな───そんな気がしたのは。
「……ね。手、繋ごうか」
「いいよー?珍しいね、ユノくんから言ってくるなんて」
「たまには、ね……」
僕の思い過ごしで───あってほしい。
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