第二十一話 決着 前編
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レイのことを何も知らないと分かった時、情けなく思った。
いろいろな感情が私を押しつぶし、結果、私はここにいる。
――――――それで、いいの?――――――
心のどこかで誰かの声がする。
懐かしいけど、初めて聞く声。
――――――フェイトは、ここで諦めちゃうの?―――――――
その声が、私に語りかける。
母さんがもう笑ってくれないのは、確かに悲しい。
自分が偽物なのは、確かに辛い。
レイのことを何も知らなかったのは、本当に情けない。
こんなに辛いのなら、感情なんて捨ててしまえばいい。
だけど、それじゃあいけない。
捨てればいいってわけじゃない。
逃げればいいってわけじゃ、もっとない。
母さんのことは、後でいっぱい泣けばいい。
私のことは、これからゆっくり受け止めていけばいい。
けど、レイのことは今行かなきゃ間に合わない!
私は、側にあったバルディッシュを手に取り、展開する。
「ねえ、バルディッシュ……、私はまだ始まってもいなかったのかな?」
『Get Set!』
バルディッシュが私を励ましてくれる。
「そうだよね、お前もこのまま終わるなんて、嫌だよね」
『Yes Sir』
私は思わず泣きそうになる。
けど、そんなのは後。
今はレイを止めることが先。
うまくできるかわからないけど、頑張ろう。
まだ始まってもいない私を始めるために、今までの自分を終わらせよう。
バリアジャケットをまとい、転移魔法を使う。
その時、またあの声が聞こえた。
――――――頑張って!――――――
私はその声に、こう返す。
「うん、ありがとう、姉さん」
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