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魔法少女は今日も歩く
第1話『魔法使いこそが最強……だったはず』
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あぁ、君か。なに、この男達がやけに私に突っかかってきてね」

 困っていたんだよ。
 そう少女は言った。何の気負いも無く、平然な顔で言いきった。
 もう不機嫌は収まったのか、穏やかな声で。

 瞬間。周りに立つ男達が殺気を放ちはじめる。

「おい、坊主。そのガキはてめぇの知り合いか?」

「──っ、なんですかアンタ達は!」

 殺気に臆しながらも、気丈に言い返す。
 その反応に目の前の、頬に傷のある男は笑う。

「口の聞き方がなってねぇな。知らない人をアンタって呼んじゃあイケねぇよ。それと、俺が訪ねているんだよ」

「だったらなんだって言うんですか!」

「いや、よぉ。何を思ったのかその嬢ちゃんがイキなり『余りに幼稚な魔術だね』なんて言ってくれちゃってよぉ……! おじさんたちぶちギレそうなのよ!」

 なぁ、と周りに聞く男を見て少女を睨む。

 何をしているんだ君は!

 そんなタカミチの視線にも少女はうっとおし気な視線を寄越すだけだ。
 そして、そんな自分達の様子に我慢を切らしたのか、男が手を伸ばす。

 それを見てタカミチは覚悟を決める。タカミチは子どもだが、ただの子どもでは無い。英雄達の集団『紅き翼(アラルブラ)』、そのメンバーの一人の弟子なのだ。ゴロツキ程度、一人ならばのせてみせる。

 しかし、今は一人だ。
 逃げ道は無し、ここでやるしかない。二人、いや一人ならあるいは。その後に逃げれば……。

 と、考えて、ポケット(・・・・)に手を入れ。

「──やかましい」

 少女が、動いた。
 誰もが目を奪われた、その光景に。腕を上げ、銃を手で形作る。
 それを目の前の男に向けて、

「────がぁっ!」

 男が倒れた。
 誰もが不理解に停止させられる中、少女だけが、それが当たり前の様に次の対象を指差す。

「──いがぁ!」

「こいつ、何をぉぉ──」

「ヤゲルトッ!?」

「おい馬鹿っ! そのガキ……! がぁぁあ!」

「ぁぁぁああ──」

「────」

 次から次へと男達が倒れていく。まるで出来の悪い芝居でも見ているかの様な光景、しかしそれは現実で。
 男達が気が付いた時には、時既に遅く。

「──ほらね、この程度も防げない」

 少女だけが男達の中で立っていた。あまりにもふざけた光景、これを為すとすれば、それは──

 魔法。

 考えられるとすればそれだろう。
 だが、違う。少なくともタカミチの知る魔法では無い。
 タカミチの知る魔法は少なくとも視認できた筈だ、見えない攻撃なんてのは無い。
 それに詠唱(・・)がない。

 もしかして、だ。
 もしかして、彼女の使っている魔法は詠唱(・・)
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