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魔法少女は今日も歩く
第1話『魔法使いこそが最強……だったはず』
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あっちが悪いだろっ!」

 それでも追いかけるのがタカミチと言う少年なのだが。





 そのやり取りは、近くのテラスの方にも聞こえていた。

「ふふふ、微笑ましいですね」

「そうか? 俺にはどーにも、あの嬢ちゃんが性格歪んでるようにみえるんだが……」

 そんなことはない、と隣の煙草を吸う老け顔の男に言いながら、目の前の少年少女を見つめる糸目の魔法使いは、先程の光景を表す言葉を考え、

「──あぁ、青春ですね」

「そんなもん、なのか……」

 見上げた空は何処までも青かった。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 ぷんぷんと肩を怒らせながら歩く。

 なんなんだあの生意気なガキは……!
ちょーっとこっちが優しく──これでもかなり譲歩したつもりである──したら調子に乗りやがって…………!
 
 普通だ、普通。めちゃくちゃ可愛い美少女がどこぞのピンク魔法使いや炎髪灼眼のフレイムヘイズの様に接してきたのだ、デレデレするのが男だろう……!
 それを、なんだ。意味がわからないって! お前は、どこの主人公だぁー!  そりゃ口調は安定しないけど、そこは素直にデレろよぉー!
 いや、まあ。男のデレなど見ても前世が男の身には、吐き気とまでは行かなくとも好印象は抱かないのだが。
 それでも、だ。この私……ではなくオレが小さな声で、

 だって何を話せばいいかわからないじゃないか。

 なんて言ったりしちゃっているのだ! どこのヒロインだ、オレは……!
 しかもメインじゃなくて、口調的にサブじゃないか……!
 って馬鹿かっ。なんだヒロインって! 
 頭を掻き、オレは、

「あー、もうっ。なんでこうなったんだぁー!!」

 今日一番の愚痴を大声で叫んだ。
 周りの目は、さして気にならなかった。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 走る。ひたすらに走る。
 探すのは黒髪の少女。なんでこんなに人がいいのか、自分で自分に嫌気がさす。
 戦争といっても、その影響は前線近くにしか出てないのか、活気ある何時もの都市であった。
 辺りを埋め尽くす人混みに圧倒されることはもうない。
 辺りに目を走らせ、自分とは違う。目立つ黒曜石の様な黒い髪を探す。
 見つけた。
 広場の噴水近くに腰掛けているのが見える。

「いた……!」

 そのまま走りよろうとし、違和感に気付く。
 野次馬が少女を取り巻いている。

「あれは…………? ──不味い!」

 少女を取り巻く様に並び立つ屈強な男達。人目見ても鍛えられていることが伺える。
 前を塞ぐ野次馬を通り抜け、男達の間を抜け少女の下に向かう。

「何をしているんだ君は!」

「……
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