第1話『魔法使いこそが最強……だったはず』
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「ふむ、君は魔法を使えないのか」
嫌味たらしく喜悦に顔を歪ませこちらを見る絶世の美少女こと、自称天才魔法少女であるクレア・ティアーヌに対するタカミチ少年の印象は最悪であった。
一部の魔法使いにありがちなとも言える魔法を使えることを誇る。ある種の差別意識とも言えるそれを体現したかの様な言葉は彼の"魔法を使えない"と言うコンプレックスを多分に刺激したからである。
この時点で少年の開きかけていた心の扉が一気に閉じたのは言うまでもないだろう。
無論、タカミチがそれを表に出すことの無い心良い性格であってもまだ二桁にも満たぬ年齢。それにも限界はある、周りは気にしなくてもそれを本人が気にするからこそコンプレックスと言えるのだから。
そんな年頃の少年と自重しない誇り高い(笑)魔法少女が出会うとなればどうなるかと言うと、
「私はこの通り天才たがらな、もうバンバン使えるぞ。だから、だ」
「…………だからなんだよ」
「コーヒーを持ってきたまえ、ブラックだ」
「なんで僕がそんな事をしなくちゃいけないんだよ!」
「は?」
「いや、だからなんでだよ!」
「凡百の余人が、非凡の身である私に尽くすのは当然の事だろう?」
こうなるのだ。
少女の予想通りとも言える答えにタカミチは溜め息を吐く。
なんで僕の周りの同年代はこんなのばっかなんだ……。
もう一人の今は別行動している眼鏡の少年を思い返し、我が身の交遊関係を嘆く。
その心労に肩が下がりそうなのを気合いで持ちこたえ。この、どうにも本気で言ってる節のある少女を見据える。
「そこに階級の差は発生しないだろう!」
「その方が合理的だろうに」
何処までも冷静に、冷酷に、冷徹に少女はいい放った。あたかも、それが世界の真理であるかの如く。
「とにかくコーヒーだ。質の良いのを頼むぞ、味は期待せんがね」
「だから淹れないって!」
「馬鹿な、こんな、美少女だぞ……?」
「そもそも自分で淹れればいいじゃないかっ!」
これでもか、と言うほど声を張り上げる。
少女はそれに対し、少し眉をひそめ、目線を下げてから、
「……な…………を……か………………」
「? なんだって?」
聞こえなかった言葉を聞き直すと、それが気に入らなかったのか、目をきっと開き、
「──っ! もういい!」
だんっ、と机に手を叩きつけ、会ったときから持っている古びた大きな本を片手に部屋を出ていってしまった。
しばしの静寂の後。
「え……、ちょっ」
いきなりの事に、なにか気に障る事をしたのだろうかと反射的に考えてしまう頭を振り、考えを打ち消す。
「あーもう! どう考えても
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