キャリバー編
百二十五話 女王の請願
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よ」
「うぅ、くらくらする……」
「楽しかったねー」
気持ちは分からないでもないが、アイリ、このメンバーの中でその発言は少々抜けているとリョウは言いたくなった。
そのまま、ミコはゆっくりとトンキーの横へと付く。リョウとキリトが其々メンバーの無事を確認しようとした……その時だった。
「あ、お兄ちゃん……リョウ兄ちゃん……!!あれ、あれ見て!!」
「あ?」
「え?」
突然、リーファが凄まじい形相でリョウとキリトに向けてある一点を指差しながら叫び、反射的に二人は、と言うか、メンバー全員がそちらを向いた。
それはリーファの声が大きかったからだけでは無い。その声が、半ば悲鳴に近かったからだ。指差されたのは左前方。そちらに向けて全員が視線を向けると同時、視界の向こうで突如色とりどりのライトエフェクトが瞬き、次の瞬間遠くから凍てついた冷気を震わせる重低音のサウンドが聞こえて来た。恐らくは、大規模な攻撃型スペルによる物だろう。
視線を良くこらすと、薄暗い視界の向こうにその原因だろう光景が見えた。くるるぅぅぅーーんと、トンキーが悲しげに鳴いたのが聞こえた。無理もない。立った今聞こえたスペル攻撃の集中砲火にさらされているのはトンキーと殆ど同じ姿をした、象水母型の邪神だったのだ。
攻撃しているのは、種族混成型の大規模なレイドパーティだ。人数は三十人と言ったところだろうか?それ自体は、別段ヨツンヘイムならば珍しい光景でも無い。ただ、その光景には通常のヨツンヘイムとは明らかに違う違和感があった。
「あれって……!?」
「……うわー……成程」
象水母を攻撃しているのは、プレイヤーだけでは無かったのである。
プレイヤー達のすぐ横で、多腕型の人型邪神が、その手に持つ半ば鈍器に近い巨剣をふるっていたのである。
ぼるぼるぼるぅぅぅ!!と雄叫びをあげて大柄な所属であるノ―ムの六、七倍はありそうな巨体が、その刃を振り下ろし、象クラゲの硬質な外皮を叩き割る。その上から傷口を広げようとするかの如く、レイドパーティの攻撃スペルやソードスキルが束となって次々に炸裂する。
「どう言う事……?あの邪神を、誰かがテイムしたの……?」
「そんな、あり得ません!」
アスナの喘ぐような一言を、即座に否定したのは隣にいたシリカだった。
「邪神級モンスターのテイム成功率は、最大スキル値に専用の装備でフルブーストしても0パーセントです!!」
「てことは……」
リズが少し首を捻りながら言った。
「あれは……便乗、してるって事?人型が水母を攻撃するのに、のっかって……」
「そ、それこそ、お、おかしくない……?」
先程の急降下のせいで未だにガクガクなアウィンが言った。どうでも良いが大丈夫かと若干心配になるくらいガクガクしている。
「い、いくら何で
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