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久遠の神話
第四十八話 会食その十二
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「兵隊さんは徴兵制で集めていたがだ」
「やっぱり数は揃いますよね」
「実質的にはかなり厳格な選抜徴兵制だった」
「選んでたんですか」
「身体測定から選ぶが」
 そこで兵士への適正を検査する、そこからだったのだ。
「甲種、最高の合格の中から選ぶ」
「一番いいって言われてた人達からですか」
「そうだ、さらに品行方正な人間を選んでいた」
「身体だけでなく日頃の行いも見て選んでたんですね」
「だからその検査はかなり厳しく」
 そしてだと。工藤は高橋に話していく。
「数も少なかった」
「少数精鋭だったんですか」
「兵隊さんになれるのはクラスで一人か二人だった」
「なれる方が凄かったんですね」
「逆にな。それこそ士官学校や兵学校は帝国大学より難しかった」
 特に海軍兵学校である。東京帝国大学に入学出来る人間が普通に落ちていたのが兵学校だったのだ。
「そうした軍隊だった」
「何かイメージ違いますね」
「それが戦前の日本軍だった」
「ですか。それで今の自衛隊は」
「勿論志願制だ」
 そもそも徴兵制の時代ではない。数を揃えても仕方がなくなっているのだ。
「それで数も少ないがだ」
「人件費はですか」
「かなり高い」
「扱いが今一つ、失礼ですがそれでもですか」
「そうだ、かなりのものになっている」
「それに兵器、それは俺も知ってます」
 現役の自衛官である工藤からは言いにくいことなので高橋は彼を気遣って自分からこのことを話したのだった。
「高い、さっきも出た気がしますけれど」
「少し以上にな」
「工藤さんの海自さんのイージス艦もですよね」
「一隻千二百億円だ」
 一口で言えばそれまでだがアメリカ軍のそれが日本円に換算して数百億円で済むことを考えると途方もない値段だ。
「それだけする」
「戦車もですよね」
「一両十億円だ」
「ロールスロイスが可愛く思えるんですが」
「ちなみにアメリカ軍の戦車は五億だ」 
 M−1エイブラムズだ。この戦車でこれだけだ。
「ドイツ軍のレオパルドはもっと安い」
「戦車はやっぱりドイツですよね」
「性能はどうかわからないがな」
 だがその性能もドイツ軍のレオパルドの方が高いという説がある。
「しかしそれでもだ」
「そんだけ高い兵器ばかりだとお金も困りますね」
「航空機もあるがな」
「そっちもですよね」
「イーグルだがな」
 これもなのだ。
「空自さんのものだが」
「やっぱり高いんですか」
「何億だと思う」
「ちょっとわからないですけれど」
「百億だ」
 こちらはこれだけだった。
「どう思う」
「無茶苦茶高いですね」
 高橋は己の意見を率直に述べた。
「そりゃお金もなくなりますね」
「やりくりに必死だ」
「でしょうね、やっぱり」

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