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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-32女戦士
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トハイム王室顧問として、ですか?」
「いや。年寄りの、道楽じゃよ」
「そうですか。それなら、是非」
「うむ。余生の楽しみが、ひとつ増えたの」

 変わり無い様子で話しながら歩いてくる兄弟の姿に、少女がほっとして声をかける。

「マーニャ、ミネア。……大丈夫だった?」
「おう。鍵なら、あったぜ」
「それもだけど。……ううん、大丈夫なら、いいの。」

 なにかを言いかけてやめた少女の様子に、兄弟が顔を見合わせ、苦笑する。

「ああ、そういう心配か。昨日今日の話じゃねえし、オレらもいい歳だからな。大丈夫だ」
「もうずっと前に、済んだことですから。心配してもらうようなことは、なにも無いんですよ。でも、ありがとうございます」

 代わる代わる頭を撫でられ、少女が微笑む。

「うん。見たら、わかった。ふたりが、悲しそうじゃなくて、よかった」

 三人のやり取りを微笑ましく見守っていたトルネコが、声をかける。

「さあ、さあ。目的のものが見つかったなら、次に行きましょう。早く戦士さまを、見つけないとね。ホイミンちゃんも、首を長くしてることだし。」
「うん。次は、ハバリアね?」
「そうだな。探すのはともかく、移動するくらいの時間なら、あるか」
「そうだね。今日はハバリアで宿を取って、明日の朝からまた、探すことにしようか」
「脱出するのであれば、ユウちゃんのリレミトが、試せるの」
「え。……大丈夫、かな?」

 ブライの提案に、馬車とパトリシア、ホイミンに目をやり、不安そうになる少女。

「なに。失敗すれば、発動しないだけのことじゃ。ルーラと違い、イメージが必要ということも、無いしの。発動すれば洞窟の外に飛ばされ、しなければここに留まる。ふたつにひとつじゃ。安心して、試してみれば良い」
「そうなのね。わかった。ちょっと怖いけど、やってみる」


 仲間たちが準備を整えるのを待って少女がリレミトを唱え、無事に発動して洞窟を脱出する。

 再び移動を開始し、魔物を退けながら、コーミズの村とキングレオの城を通り過ぎ、港町ハバリアに到着する。


 もはや港町とは名ばかりの、船の入ってくる当てもない夕闇のハバリアは、それでも最後の船の名残で、それなりに賑わっていた。

 宿を取り、夕食を済ませてやるべきことも済ませ、気丈に頑張ってはいたが漂流で消耗していたホイミンはもちろんのこと、いつ魔物の襲撃があるかわからない船旅の緊張から解放された一行も、明日の捜索に備えて、早々に休むことにする。

 疲れてはいるものの、諦め切れないマーニャが、愚痴る。

「折角の港町だってのによ。酒場にも行けねえとは」
「悪いけど、今日は連れ戻しに行く元気がないから。こんなときくらい、我慢してくれよ」
「戦士さまを
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