第一幕その一
[2/2]
[9]前 最初 [2]次話
御母上の御前ではそのようなことは仰らず涙一つ流されなかったのに。けれど今は冷たくおし黙って蒼ざめた御顔で碌に食事もされず」
言葉を続ける。
「眠られず。もう見てはいられません」
「窓を開けて」
イゾルデはそのブランゲーネに対して言った。
「そこの窓を。早く」
「窓をですね」
「ええ」
またブランゲーネに告げた。
「早く。そこの窓を」
「わかりました。それでは」
イゾルデに言われるままその窓を開ける。するとそこから青い海と空が見える。だがその蒼はそれぞれ違っていた。イゾルデはその青を見るのだった。
そこにまたあの歌が聴こえてきた。
「爽やかな風は故郷へと吹いていく。アイルランドの娘は今何処に」
「あの男は何処に」
イゾルデはその窓から目を離してまたブランゲーネに問うてきた。
[9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ