第一物語・後半-日来独立編-
第四十三章 秘めし決意《3》
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剣で受け止める。
片腕だけだというのに、戦竜は火炎ノ緋翼を押している。
加速機の違いや、燃料の残量などが関係しているものの、それでもやはり炎熱火剣に比べたら小枝のように細い流魔刀で受け止めるのは予想以上に難しい。
ぶつかった衝撃をいなせなければ、青の刀身はたちまち割れるだろう。
何度も受け止め、割れることがないということはそれ程実力があるということだ。
『背後ががら空きだぞ』
「最後の一本か!」
背後から迫る流魔刀。
ここは加速機を噴かし、上へと回避する。
『逃がすが!』
先に握っていた流魔刀を納め、回避され大気を切る流魔刀を握り火炎ノ緋翼を追う。
加速機を翼のように広げ、全速力で追い、
『もらった――!』
速度の方では戦竜の方が上だ。
だから追い付き、背後から斬撃を叩き込んだ。
しかし、この一撃は騎神ではなく、
『馬鹿か! お前は!』
操縦者に向かって放たれた。
●
入直は考えた。
背後には辰ノ大花の騎神がいる。
実力的にも機体の性能的にも、更には操縦者的にもこちらは劣っている。
火炎ノ緋翼にこれ以上ダメージを与えてしまうと、さすがに修理出来るとしても今後に関わる。
だからここは、例え自分を盾にしてでも火炎ノ緋翼を守る。
イグニッションは出来無い。
あれは一度で消費する燃料が多いからだ。
それに今のままでは例えイグニッションを行えたとしても、再び距離を詰められてお仕舞いだ。
別に、生身で受けようとするわけではない。
そんなことをしたら身体が真っ二つになり、絶命は確定だ。
命は無駄にはしない。
ここは防御系術に防御系加護を与え、強固な防盾で迎え撃つ。
前払いした分の流魔があるので、今この場で流魔を消費しなくても済む。
アマテラス系加護の殆どが、前払いありだから助かるさ。て言っても、ロロアの奴は防御系術必要以上に使うからねえ。流魔切れ起こしてなければいいけど……。
●
「何をやっている」
問うのは走るトオキダニだ。
今、三年一組を中心にした結界の自壊を担当している組は、西貿易区域に向かって走っている。
美鷺のお陰で変な忍者の変な壁を通り抜けることができ、順調に行っている。
途中で戦闘はあったものの、何故か西貿易区域が視線に捕らえられるここに来て、敵の数が極端に少なくなった。
何かあるとかと用心はするが、のんびりともともしてられないので足をきちんと動かす。
そんななかで、トオキダニの横を走るロロアを見て、彼は問うた。
問われたロロアは、ぶかぶかのその小柄な身体にしては大きめの制服のポケットに手を突っ込みながら、せっせと走っている。
不思議に思ったので、彼女に問うたのだ。
軽い足取りで足を運びな
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