初めての都市
初めての友達
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話をハラハラしていたバンクルトは心の中でシキに謝っていた。
「で、でも、凄いとお、思います」
「本当だよ、ナッキのお父さんといい勝負できるんじゃないかな?」
いい勝負どころか、圧倒されると思っているシキだったが、口には出さない。バンクルトと手合わせをしてわかったが、この都市にシキに勝てるものはいないだろう。
「へぇ、ナッキの父さんも武芸者なのか」
「警察官だけどな。私の憧れだ」
そんな風に笑うナルキの顔を見て、シキは胸の奥に感じた痛みを誤魔化すように笑みを深める。
「でもさ、寂しくないの? シッキーだって友達とかいたんじゃないの?」
「……友達、ね」
社交性があるリーリンと違って、シキは友達が少なかった。いやほとんどいなかったに等しい。
ミィフィが苦手なのは、慣れていないということもあるのかもしれない。
「友達作るのは苦手だから」
「じゃ、じゃあ、シッキーと私たちって、は、初めてのと、友達?」
震えながら言ったメイシェンの言葉に、シキだけでなくナルキたちもびっくりするが、笑いながら頷き合う。
「あぁ、そうだな」
「なんかいい雰囲気? もしかしてメイっち、シキに惚れちゃった?」
ひゃ、ひゃい!? と顔を真っ赤にしながらあたふたするメイシェンの様子を見ながら、シキは声を上げながら笑う。
手紙に書く事が増えたな、とシキは笑いながら思った。
「うんうん、じゃあシッキーの都市の話してよ! 私たちも話するからさ」
「そうだな、武芸の本場であるグレンダンの話は聞いてみたい」
「わた、私も聞きたい、です」
「そうだな、俺の師匠たちの話をしようかな」
ワイワイと話し合う、シキの姿は年相応の子供そのものだった。
バンクルトは息を吐くと、その光景から目を離し、部下たちを鍛えるため錬金鋼を抜いた。
だが、シキの平穏は長くは続かない。
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