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鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
初めての都市
初めての友達
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キは息を吐きながら、バンクルトの前に着地する。
 周りで見たいた武芸者たちは口を開けて呆然とする。無理もない、自分たちの中で一番強い武芸者が成す術もなく、それも手加減された上でだ。
「……勝てるわけねえよ」
 誰かがポツリと言った言葉は、全員の気持ちを代弁していた。
 そこで、シキは足を床に叩きつける。
 訓練場全体が揺れるほど、凄まじい衝撃と音だったので、バンクルトを含めた全員がハッとした顔でシキを見た。
「ふっざけんな。子供一人にコテンパンにされて悔しくねえのかよ」
「あっ、そ、それは……」
 悔しくないわけではない。ここはヨルテムでも特に優秀な武芸者があつまる交叉騎士団だ。実力に自信がないものがいないわけがない。
「それとも、もしも汚染獣が来た時に俺に頼るか?」
 シキに頼る。
 そう、そうすれば簡単だ。シキの力を借りればほとんどの汚染獣が撃退できる。
「舐めるなッ!!」
 その時、先ほどシキと戦っていた武芸者の一人が叫び声と共に立った。
「我々は交叉騎士団の一員だ!! 子供に頼る事はない!!」
「そ、そうだ!!」
 次々と武芸者たちが立ち上がっていく。
 体がボロボロでも、その目に宿る闘士は先ほどと打って変わって燃え上がっていた。
 それを見たシキはニッコリ笑いながら、刀を振った。
「んじゃ、もう一セット行くか」
「「「「「えっ!?」」」」」
「ホーッホッホッホ!! まだまだいけるらしいぞ? シキくん」
 いつの間にか、バンクルトが笑いながら立っていた。
 全て仕込みだったのだ。シキの実力を思い知らせるのと、騎士団のやる気を上げるためバンクルトがシキに頼み込んでやっていた。
 当の本人は、バラしたのでキリッとした顔からいつものダベーッとした顔に戻っていた。明らかにやる気を失っていた。
「あれ? シッキー?」
 シキを呼ぶ声が聞こえたのでシキとバンクルトは後ろを振り向いて、表情が固まった。
 そこにいたのは、大勢の同年代の少年少女とミィフィやナルキ、メイシェンだったからだ。


「すごいじゃん! シッキーって、凄い武芸者だったんだね!」
「あ、あぁ」
「ちょっと記事にしていいかな? 外部からやってきた凄腕武芸者って!」
「い、いや止めてくれ」
 先程まで、大人相手に余裕で戦っていた人物とは思えないほど、シキは縮こまっていた。
 しおりと思しき紙を丸めて、足跡のインタビューマイクを作り、鼻先まで接近しているミィフィにすっかり萎縮していた。
『すまん! 今日は初等学校の見学が入っておったんじゃった!』
 小声で謝るバンクルトを思い出しながら、シキは内心舌打ちをする。
 こういう時のストッパー役であるはずのナルキだが、今回は武芸とあって興味津々と言った様子でシキの言葉を待っていた。メ
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