初めての都市
初めての友達
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った。(実際、アイナが抱きついた)
グレンダンでのシキは余裕がなかった。もちろん、休んでいたのだが毎日毎日厄介事や家事、大会、汚染獣と神経を尖らせていることが多かった。そこに、このヨルテムの平和さだ。
今まで張り詰めていたシキの緊張が一気にほぐれるのも無理もない。
「……手紙、書くか」
ポツリとシキは呟く。
だが、待てよ? とシキの脳が止めに入る。
『さて、手紙書くか? 書かないか、どうする?』
ここは、シキの脳内にある脳内会議場。主人格シキがそういうと、脳内会議場に座っているシキたちが次々と口を開く。
『というかさ。帰ればよくないか? あのバス奪って』
『一応、恩人だしさ。それには最終手段だろ?』
『馬鹿言うな! 義理に反するぞ! それでいいのか!?』
『いや、体改造されてるしさ』
『あー、左腕と臓器増やされてたねー、アハハハハハ』
『これ以上関わると、もう何かと合体させられるぞ』
『電子精霊や汚染獣とかさ』
『『『『それは嫌だな!』』』』
主人格シキは、机に突っ伏す。
なんだ、このカオス。
『でも手紙は必要だな。俺確実に死んだと思われてるぞ?』
『死んでませんがねー』
『むしろ汚染物質克服したわけだから、どうやって死ねって言うんだ?』
『そこじゃないだろ? むしろ、今帰ったら姉さんと義父さんに怒られるだろうな』
『『『『そりゃそうだ』』』』
ほぼ全員が賛同する。
『しかし、都市回るのって楽しくないか?』
一人のシキがそう言うと周辺のシキたちはざわめき立つ。
『確かにな。グレンダンじゃ体験できないこといっぱいあるだろうしさ』
『まぁ、戦い続けるグレンダンの環境も捨てがたいよなぁ』
そりゃそうだー! とか、かもすぞー! とか言う好戦的なシキたちが立ち上がる。
『待て待て、平和が一番だろ!?』
そうだそうだー! とか、働きたくなーい! とか言う平和的なシキたちも立ち上がり、好戦的なシキたちに掴みかかる。
どっちも好戦的だよなぁ、とあくびをしながら主人格シキは両者の争いを見ながらポツリと呟いた。
『まっ、最終的な決定権は俺にあるんだがな』
ピタリと争っていたシキたちが動きを止める。そして一斉に主人格シキを見てこう言った。
『待てよ? 主人格がヘタレだからこうなってるんじゃないか?』
『そっか……そうだよな!!』
ヘーターレー! ヘーターレー! とヘタレ大合唱が巻き起こる。
主人格シキの顔が引き攣っていき、机を叩き割る。
『キレちまったよ、かかってこいやぁあああああああああ!!』
『かかってこいやぁああああああああ!!』
『うぉおおおおっ!!』
第三十次主人格争奪戦がここに始まった。
「……う、うわぁ」
シキは頭を抱えながら、脳内の結果に絶望する
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