初めての都市
初めての友達
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「あれ?」
シキは、呆然と何かの景色を見ていた。
そこはシキにとって見慣れた景色であった。
「グレンダン?」
だが、そこはグレンダンであってグレンダンではなかった。
言うなれば、地獄だ。
シキがよく訓練場所に使っていた都市外縁部にはおびただしい数の汚染獣らしき死体、そしてグレンダンの街が燃えていた。周辺からいくつもの膨大な剄を感じる。もちろん天剣授受者のものだ。
戦っているのだ、グレンダンの全戦力が。
「嘘……だろ?」
シキの脳内に、嫌な考えが通りすぎる。
孤児院は? レイフォンは戦っているのか? ちゃんと避難できてるよな? 大丈夫なんだよな?
次々と溢れ出る最悪の結果を想像して、シキは膝がつきそうになる。
だからこそ、気づいた。自分の足元に弓が落ちていたのを。
「あ……れ?」
その弓に見覚えがあった。それはティグリスの天剣だったからだ。
シキは震えながら、それを拾う。
そして見てしまった。
「あぁ、ぁあああ?」
喉から出てきたのは、そんな言葉だった。
そこに合ったのはティグリスに似た何かだった。そう表現しなければ、シキは正気を保っていられなかった。
それほどまでに、ティグリスの遺体は酷く損傷していた。
全身から血が吹き出ていて、真っ赤でない部分はなかった。
ふと、シキは空を見上げ、絶句した。
エアフィルターを覆うように、巨大な何かが蠢いていた。悪寒や恐怖心が体を包み込む。
そして表面からは、生物弾とでも言えばいいのか。砲弾のようなものが発射され、天剣たちの剄弾や剄技に破砕されていく。が一部が地響きを立てて、グレンダンに落下する。
「……」
当然、シキの場所にも生物弾は落ちてくる。
シキは呆然とティグリスの死体を見ていた。このままでは、ティグリスのような無残な死体になるのがオチだろう。
だが、そうはならなかった。シキの身体から剄が溢れ出る。その余波だけで、周囲の生物弾が次々と爆散していった。
「お前か」
シキは顔を上げて、グレンダンの空を覆い尽くす化け物を見た。
「お前なんだな?」
シキは、弓を構える。
その時の衝撃で、大地にひび割れが出来、グレンダンが揺れた。
ありったけの剄を込めた弓矢を形成し、弦を引きちぎらんとする勢いで引く。
その余波だけで、周囲……いやグレンダン全域の生物弾が破砕されていく。怒りに狂いながら、シキは身体から溢れ出る衝剄を上空だけに向けて放っていた。
「お前が殺したんだな」
荒れ狂うシキの心が反映されたのか、周囲は近づくだけで焼き尽くされそうな熱風が吹き荒れる。
奥歯が砕ける音がし、口の中で鉄のような味がした。シキは、それを気にせずに化け物に狙いをつけ、弓矢を射った。
真っ赤に染め上がった弓矢は、まっ
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