学舎の園
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なんですからお3人とも少し黙ってくださいまし。」
重福の後ろにはこれまで先回りを続けていた4人。これで重福に逃げ場はなくなる。
「なんで……なんで『視覚阻害』が効かないの!?」
「さあてなんででしょうね?」
「くっ……これだから常盤台のお嬢様は……!!!」
「「あっ!!」」
「大丈夫だよ、佐天。松野。」
小馬鹿にしたような返事に一気に重福の頭に血が上る。そしてスタンガンを茶髪の少女に押し当てる。完全に意識を奪った。重福は確信していた。後ろで4人が何か言っているが関係ない。今、重福の頭の中からは、完全に姿を消せるようになった自分の能力が効かないイライラと相まって数的不利など頭からきれいさっぱり抜け落ちていた。もっとも
「あ、あれ?」
「ふぅ……残念。私、そういうの効かないんだよね〜。」
「え、えーっと……きゃあ!」
人数など関係ないようだったのだが。茶髪の少女が指先から電気を出して見せた後、重福の腕に指先を当てる。その瞬間、重福の体に電流がはしり、重福は意識を手放した。
「手加減はしたからね。」
「初春、容疑者確保の連絡をアンチスキルにお願いしますの」
『はーい。う〜ん……お疲れ様でした。』
「初春もお疲れ様」
ずっとナビゲーションをして重福を追い詰めてくれた初春をねぎらいつつ、蓮たちは近くのベンチに重福を運ぶ。その理由は佐天の仕返しのため。
「ふっふっふっ……!さぁて、どんな眉毛にしてやろうかなぁ……!!」
「見慣れてくると佐天のこの眉毛もそんなに面白くないな。なんであんなにツボにはいったんだろ。ただ変なだけだし。」
「ただ変なだけとか言わないでよ!うぅ……笑われるのも嫌だけど微妙な気分……。まあいい!気を取り直し……て?」
黒いペン片手に不気味に笑う佐天が蓮に余計な口を挟まれつつも重福に仕返しをしようと前髪を寄せる。しかし、他の4人が苦笑いしている中佐天は唐突にその動きを止めた。その視線の先には佐天と同じような重福の太く濃い眉毛。誰も口を開かない中で重福が目を覚ます。
「んっ……!!あっ!いやあ!!」
「えっと……」
「おかしいでしょ?」
「……はい?」
「笑いなさいよ。笑えばいいのよ!あの人みたいに!!」
「「「「「あの人?」」」」」
そこから重福が語ったのは過去の重福の恋愛。過去に好きだった男の人が常盤台のお嬢様を好きになってしまい、振られる際に言われた一言が
『だってお前の眉毛変じゃん』
その言葉にショックを受け、重福は自らを振った男、常盤台のお嬢様、そしてすべての眉毛に恨みを持った。それがこの事件を起こした動機らしい。
「え、えー……」
「ごめん。話が途中から見えない。」
「はあ……終わったら教えて。」
「逃げる
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