一章 九話 とある決闘は道を提示する
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、ジゼルも動いていた。
奴は初めて上段を崩し、刀を肩に担ぐようにして突っ込んでくる。
「最後まで突撃とは、芸がないねえ」
「そーゆーのは、勝ってから言え!」
言うと同時、体を引き上げる。左足で、急ブレーキ。
そこから一歩下がって、落武者の剣をかわすーーつもりだったのだが。
クッソ、思ったより早え!
ジゼルのソードスキルは、もう始まっていた。
上からの、背後を経由しての胴への真一文字。
速さ、リーチ、重さ、全ての揃った一撃。
下がっていては間に合わない。なにしろ、まだ体が完全に止まりきっていない。
受けるのも、むりだ。今からじゃ、遅すぎる。
ーーーーーあった。
その時俺が見つけた道は、ーーいや、言い方が違うな。
最初から、選択肢にはあったのだ。ただ、見て見ぬふりをしてただけで。
ブレーキの為に後ろに乗せていた体重を、前に引き戻す。
左足に力をため、体を小さくかがめる。
ーーーー蒼の妖精! テメエに乗せられたんじゃ、ねぇかんな!
おそらく後方で笑っているのだろう少女に心の中で叫ぶ。
そして、俺はーーーーーー
ーーーーーーーーーー跳んだ。ーーーーー飛んだ。
ゲームの世界ってすげえよなあ。
そんなことを考えながら、190センチ近いジゼルの、更に1メートル以上、高度3メートル程ーー洞窟の天井ギリギリから、下界を見下ろす。
ジゼルのスキルが終わったのが見える。
即座、下降運動に入る直前に、クルリと前転。赤茶の天井を蹴る。
さながら流星のように、ジゼルの背後目掛けてダイブ。
途中で体を捻らせて、足から着地。俺の、とあるスキルの成せる技だ。
大技に多い、長い硬直のまだ解けないジゼルに、最後の一撃。
「おおおおおっ!」
片手剣重単発技”ザ・チャリオット”
俺のもつ単発技で、最高火力のスキル。
多分、奴のHPバーをギリギリイエローに落とし込めるはずだ。
轟音とともに剛の突きが、奴の鎧を突き破る。
奴のHPバーがガクンと減る。
・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・マジっすか」
呆然と呟いたのは、俺だった。
ジゼルのHPは、イエローには入っていなかった。
0.1割程。
後一撃かすれば削り切れる。たったそれだけの差。
「いやー、危なかった」
硬直の解けたジゼルが、体から剣を引き抜きながら言う。
ちなみにゲームの中なので、痛みはない。
精神的に痛いだろうが。
「残念だったね」
ニヤッと笑って、奴は大きく刀を振りかぶる。
「切り捨て御免!」
刀は凄いスピードで・・・
「いやっ、ちょっとまて、死ぬってオイ!」
俺の肩にチョンッと触れた。
その、納得のいかない一撃・・・ひとさわり
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