一章 九話 とある決闘は道を提示する
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時間じゃねえんだっつうの。
再び突撃。
剣は腰だめ。
「そんなんじゃ創意工夫の評価がCになってしまうよ?」
おどけた顔を崩さないジゼルに苛つく。
代わり映えのしない俺の斬り込みに、ジゼルも代わり映えのない降り下ろしで対応。
かかった。
「世の中に全く変化のない物なんて存在しないんだぜ、ジゼルさん」
”バーチカルタクティカル”の発動する直前に、膝を曲げて前傾。
片手剣三連撃”ジオ・アマンティ”
速さだけを追求した稲妻のごとき剣先が命中する。
クリティカルヒットの恩恵で、奴の体がのけ反る。
奴のHPが、合計で四割ほど削れる。
・・・おもっきしクリティカルだったのに、たった四割・・・・
俺、筋力無さすぎだろ・・・・
スキル後の硬直中、げんなりする俺の目の前で、のけ反りから回復したジゼルの剣が、反撃のために煌めく。
「うおっ」
ギリギリ硬直の解けた俺は、全力で後ろへ。
初撃を食らってしまった。
残HP55%。
「強引ですね」
再び蒼い少女の声。
一体どうしたというのでしょう。
「まるでパワータイプみたいな戦いかた。・・・・本気、出してないですよね?」
・・・・・・・・・・・・・
「・・・・とっくに本気だよ」
「本気じゃないですよ」
即刻返された。
声しか判断材料がないが、どうも不満そうに聞こえる。
「たとえ先輩が本気のつもりだとしても、そんな戦いかたじゃ、勝てませんよ。”奇術師”先輩」
その言い方に違和感を覚え、後ろを振り返る。
「・・・・昔の俺のこと、しってんのか?」
「はい」
なるほど。
納得し、反芻して、反発する。
俺は、ジゼルの方へ振り返る。
遠目に見える、おどけた顔にはニヤニヤ笑い。ムカツク。
顔だけはそちらに向けたまま、背後の妖精に呟く。
「昔の俺がどうであろうと、今の俺は違えーんだよ。もう弱っちかったあの頃とは違げーんだ」
蒼い少女が口を開くまえに、少し前進。
ジゼルが、のんびりした声で話かけてくる。
「作戦タイムは終わりかい?」
「どーも、お待たせしたよーで」
なんつーか、余裕だな。
「ま、次で終わらせる。みたいな?」
宣戦布告。
体を半身に、左手を前。いつもの構え。
「君、構えを全く変えないよねぇ」
落武者が呆れたように言うが、気にしない。
つか、
「お互い様だろ?」
奴もこのデュエル中に上段以外の構えを見せていない。
それだけ上段からの切り下ろしに自信があるのだろう。
何となく、二人同時にニヤッとわらう。
そして、それが引き金となった。
俺は、みたび突撃。
今度は、鼻が地面に着きそうな勢いで、前傾。
垂らした右手の剣が、地面に擦れて火花をちらす。
今度は
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