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俺様はフリードリヒ大帝
第五話「クロプシュトック侯事件 」
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フリードリヒ4世が暗殺に倒れれば帝国と同盟の停戦協定は実現しない。そうするとクロプシュトックの反乱の裏には旧フェザーンの勢力がいるかもしれない。彼らはフリードリヒ4世には怨みがあるからね。」

いまはフリードリヒ4世に崩御されると困る。停戦が夢と消えるからだ。フリードリヒ4世暗殺は避けねばならない。クロプシュトック侯爵が反乱すればノイエ・サンスーシ宮殿に出入りする軍人の数が激増するはずだ。それにまぎれて暗殺できるかもしれない。それに帝国軍の正規艦隊は万が一に備えて皇帝がいるオーディンを守る準備をせねばならなくなった。帝国軍はイゼルローン要塞を支援するために遠征できなくなったということだ。できたとしてもせいぜい1個艦隊だろう。しかも帝国軍の名将、ミュッケンベルガー元帥、メルカッツ大将、そしてミューゼル大将はフェザーンにいて動けない。私のイゼルローン要塞攻略戦が有利になったように見える。
「クロプシュトック侯爵の反乱で我々は有利になったといえる。反乱が起きたうえに皇帝暗殺の可能性が示唆されているから帝国軍の正規艦隊はオーディンを離れられない。つまりイゼルローン要塞の支援には向かえないということだ。旧フェザーンの勢力は帝国と同盟を戦わせて利益を得ていた。だからフェザーンが帝国の手にわたったいまイゼルローン要塞を同盟の手に渡そうという魂胆なのだろうね。」

「なるほど。」

『この時、同盟側で事の真相に近づいていたのはヤン・ウェンリーだけであろう。一方で停戦協定の締結を目指す皇帝フリードリヒ4世にとってみればイゼルローン要塞は同盟の手に渡らなければならなかった。その意味ではフリードリヒ4世にとってクロプシュトック侯爵の反乱は渡りに船であったろう。帝国軍の正規艦隊はオーディンを離れなれなくなってしまったのだから。したがってフリードリヒ4世が恐れるべきは暗殺だけなのだった。そのため装甲擲弾兵総監から近衛兵総監に転じたオフレッサー上級大将にノイエ・サンスーシ宮殿防衛と皇帝暗殺阻止の勅令がくだり、帝国軍宇宙艦隊にはオーディン防衛が命ぜられた。』

帝国暦488年 新年
『年末に発生したクロプシュトック侯爵の反乱は収束の気配を見せることなく新年を迎える。オフレッサー上級大将にノイエ・サンスーシ宮殿の防衛が命ぜれて以来、宮殿の警備は格段に強化された。広大な宮殿を警備するために近衛兵だけでなく装甲擲弾兵が動員された。特に皇帝の住まいと執務室がある場所には身辺調査を受けた近衛兵が重点的に配置された。また帝都オーディン周辺にはヴィルヘルム・フォン・リッテンハイム侯爵の私兵艦隊が配備され、オーディンを要するヴァルハラ星域外縁部を帝国軍正規艦隊が固める。』

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