第五話「クロプシュトック侯事件 」
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「「「はっ!」」」
「しかし陛下。クロプシュトックに反乱を起こすだけの度胸があるとは意外ですな。」
「リヒテンラーデよ。クロプシュトックは社交界から追放されておる。断絶は時間の問題なのだ。失って惜しいものは少なかろう。」
クロプシュトック侯爵領 クロプシュトック侯ウィルヘルム
わがクロプシュトック家はルドルフ大帝以来の名門。皇太子立太子以前のフリードリヒ4世陛下は放蕩の限りを尽くされ帝位を継がれた当初は大いに失望したものだが誰がフェーザーンを制覇するなどと考えようか。ノイエ・サンスーシの11月勅令で帝国は叛徒共に対して圧倒的優位にたった。フリードリヒ陛下は御自分を隠しておいでだったのだ。私がクレメンツ殿下を支持したためにいまのクロプシュトック家は事実上の反逆者だ。なんとか汚名を返上せねば。社交界はブラウンシュバイク・リッテンハイム一門に牛耳られ我がクロプシュトック一門は社交界の出入りさえ許されなくなってしまった。このままではクロプシュトック一門は滅んでしまう。
クロプシュトック家の私兵艦隊に配属されているアルフレット・ヴィンクラー大佐という男が助言してくれた。フリードリヒ4世陛下は私利私欲のために権力を行使するブラウンシュバイク・リッテンハイム一門に代表される門閥貴族を討ち滅ぼすおつもりなのだ。もしクロプシュトック一門がこれをお助けできれば汚名を返上できる。ブラウンシュバイク・リッテンハイムの首をフリードリヒ陛下に献上すればクレメンツ殿下に与した事をお許しいただけるだろう。
自由惑星同盟領 ある惑星 アドリアン・ルビンスキー
「大主教猊下にご報告いたします。クロプシュトックの反乱を誘発することに成功いたしました。」
「そうか。でかしたぞ。フリードリヒ4世は近年のゴールデンバウム王朝の皇帝に見られぬ才覚の持ち主。我らはすでにフェザーンを失ってしまった。自由惑星同盟を強化すると同時に帝国を弱体化させるのだ。」
「はは。」
第13艦隊 旗艦 ヒューベリオン ヤン・ウェンリー
「ヤン提督。ハイネセンの統合作戦本部から緊急通信が入りました。」
「ありがとう。グリーンヒル中尉。」
グリーンヒル中尉から通信内容を受け取るとその内容に驚いた。
「提督?」
「ああすまない。ムライ大佐。これにはこう書いてある。”帝国でクロプシュトック侯爵が反乱。皇帝はブラウンシュバイク公爵にクロプシュトック討伐を命じた”と。帝国軍の正規艦隊は動かないのだろう。」
「貴族の私兵艦隊どうしの戦いですか。帝国軍が直接反乱を鎮圧しない以上はイゼルローン要塞攻略に支障は出ないでしょうね。」
「そうだろうね。シェーンコップ大佐。だけどもしクロプシュトックの反乱が陽動作戦でフリードリヒ4世を狙った暗殺が本命ならば話は違ってくる。
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