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アマガミフェイト・ZERO
七日目 十一月二十七日(日)
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も成功させなければならない。解ってくれ。そうおっしゃっておりました」
 紗江が困ったように俯く。
「そういう訳で、しばらくの間、こちらにご厄介になります」
「こ、ここにす、住むんですかっ」
「ああ、ご心配なく。離れの方に、です。お父様より鍵も頂いております」
「そういう訳だ。王である俺が来てやったのだ。ありがたく思え」
 びくっと紗江の顔が再び緊張で強張り、恐る恐るアーチャ―を見た。だがアーチャ―の顔を見て、紗江の表情がぱぁっと明るくなった。
「あ、あの、もしかして、イ、イナゴマスクのレオさん、ですかっ」
「……なんのことだ」
「巷で話題の、悪をくじく仮面英雄の事だろう」
 言峰が説明する。
「悪とは、世界の王たる俺の敵の事。下民にしては解っているではないか」
「こ、この方も離れに、い、一緒に住むんですか?」
 紗江の顔が、やや上気している。
「ええ、そうです。さて、今日はご挨拶だけとさせていただきます。詳しい特訓の内容については、夕方改めて説明致します」
「ええ、と、特訓ですかっ」
「はい。お父様から教育係を頼まれましたからには、精一杯やらせて頂きます」
 紗江の顔が不安で曇る。
「ご心配なく。ゲーム形式の特訓ですから」
「ゲ、ゲーム、ですか。あ、あの、わたし、その」
「よろしければ、お父様と直接話をされますか? お忙しいとは思いますが、少し話をするくらいの時間はとれると思いますが」
「あ……い、いえ。えっと、あの、わ、解りました。が、頑張りますっ」
 言峰は内心にやりとした。
(第一の関門はどうやら無事に突破出来たな。神よ、あなたのお導きに感謝致します)
「それでは、また夕刻に」
 言峰は、頭を下げた後、離れの方に足を向けた。そんな彼を紗江が引きとめた。
「あ、あのっ」
 おどおどする紗江。見ているだけで心が洗われるようだ、と言峰は思った。
「なんでしょう」
「そ、その、お名前は……」
「これは失礼致しました」
 言峰は自分とアーチャ―の名前を伝えた後、一言だけ言い添えた。
「ですが、わたしの事は教官と呼ぶようにしてください。これも、訓練なのです」
「は、はいっ、教官っ」
 こうして、中多紗江はアーチャ―のマスターになった。
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