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ファイアーエムブレム〜ユグドラル動乱時代に転生〜【外伝】
とある騎士の昔語り---その3---
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女は保護されたが、その時には既に父親である村長によって捜索願の陳情は送られていた。
ただ一人戻った娘にひとまずは安堵の声を出した村長だが、妻と幼い息子の行方を問いただしても要領を得ない娘の様子に焦燥感を募らせ、フレージルがその場で止めなければ手ひどい暴力を振るったことであろう。
様子を心配してやってきた村人のおかみさん達はドロテを労り、抱きしめ、落ち着かせると彼女のほうからぽつぽつと状況を語り出した。
村長が強い口調で言葉の途中を遮ったり、当たりもしない先読みで話を先取りして話そうとするたびにおかみさん方は村長の手や時には頬までぴしゃりと叩き、窘めた。
" 母親と幼い弟を置いて一人だけ逃げてくるとは何事だ! " 全てを聞き取ったあと、村長は怒りを露わにしさえしたが、おかみさん達だけでなくフレージル含め居合わせた村民達は彼に呆れ、むしろ、この知らせをもたらした彼女を称賛した。
……村人たちが、" マノンさんは熊を追い払ったけど怪我して動けなくて助けを求めているかもしれない "と言い、決して" 遺体の捜索へ行こう "とは言わなかったのは村長では無くドロテの気持ちを慮ったからであった。
熊と出くわしたおおよその場所はドロテから聞き出すことが出来たので村の男達は総出で森へと出発した……
鉈や薪割り用のマサカリ、それにフレージルの猟弓程度とおそまつな武装であったが、山菜収拾用の小刀くらいしか持ち合わせて居なかったマノンに比べれば状況はマシであろう。
ほどなくドロテ達が巨大な熊と出くわしたあたりに辿り着いた村人達は漂う血なまぐさい匂いに、わずかに信じ込もうとしていた二人の生存を諦めた。
……見つかったのは血まみれになった衣類の切れ端と……背骨やあばら骨とおぼしき骨がいくつか。
それに女性のものと思われる膝から下と思われる脚が二本……
小さな履物が片方、それにずたずたになった血まみれの短衣はエリクの痕跡であろうか。
丁重にそれを回収した村人達であったが、猟師のフレージルはそれを辞めさせようとした。
曰く、熊は自分のモノと思ったものは執念深く取り返そうとするから村へと襲ってくる可能性が高いだろうと。
しかし、埋葬してやらねば浮かばれねぇと言う皆の意見を覆せる訳でなく重い足取りで彼をはじめ村人たちは帰路についたのであった。
フレージルの警告もあったので一計を案じた村長は付近一帯の開拓村の管理を司る役場へと救援を願う使者を送ることに決めた。
駐在する近衛騎士は少なくとも月に二度は巡視に来るなど、前任者に比べて勤勉であり頼りになると思ったからだ。
今朝一番で陳情の使者を送ったせいで馬を送ることは出来ず健脚の者に託そうと支度を整えていると、役場のほうから使者がやってきたことに村長
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