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ファイアーエムブレム〜ユグドラル動乱時代に転生〜【外伝】
とある騎士の昔語り---その3---
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菜や木の実を採りに、まだ開発の手が延びていない森の奥へと足を延ばした。
はじめ、それを見つけたのは息子のエリクだった。
" おかあさん、あれなぁに? "と指差した先にはこんもりした黒っぽい山のような固まりがあったという。
マノンはすぐに大声を上げたり走りだしたりするようなことは無く、両手を広げ我が子の前にゆっくりと進み出て己の背後へと隠すように導くと二人の子らに言い聞かせるかのごとく
「目を逸らしてはだめ、ゆっくり……ゆっくりとあとずさって頂戴。 お願いだから、かぁさんの言う通りにね。 帰ったら、蜂蜜塗ったパンを食べようね」
「ねぇ、あれはなんなのー? なぁに? なぁに?」
「お願いだから言う事聞いて頂戴、ね」
「エリク、おかあさんの言う通りになさい、じゃないとあとでねぇさんぶつわよ!」
村長にとって跡継ぎ息子ということで甘やかされてきたエリクは聞き分けが無く、さらにはこの年代特有の好奇心旺盛さが仇となり、彼を見かねて叱ったりぶったりした母親も姉も、その後に上位者である村長に逆に怒鳴られたり折檻されることが繰り返され、すっかり甘く見られていたのも事態の悪化に一役買っていた。
ちっぽけな自己顕示欲、母や姉より自分は上なのだと生意気にも口答えする本人達に思い知らせよう……とでも思ったのであろうか、言われたことの反対を敢えて行ったのだ。
「お前なんかあっちに行けー! クサイんだよ!」
勝ち誇ったような表情を浮かべたエリクは大声で叫び、小枝を拾うとこんもりした黒山……巨大な熊に投げつけ、後ろを振り返ると走りだした。
木の枝をぶつけられた巨大な熊は凄まじい咆哮を上げ、それを耳にしたドロテはあまりの恐ろしさに胸が潰れるかと思った。
咆哮だけに留まらず、脱兎などものともしないような速度で突進した。
エリク目がけて襲い掛かった熊が踏みつけた木の枝は折れ飛び、掠めた破片の一片は彼女の頬を傷つけた。
ちらりとしか目に入らなかったが、熊の身体の至るところには矢が突き立っており、それは左目にも及んでいるのが見てとれた。
次いで、弟の上げた叫び声と泣き声、それを救おうと挑みかかった母の声を彼女は終生忘れ得ないだろう。
それに、自分に逃げろと叫び続けたことも………
ドロテは恐ろしくて逃げた。
母親が自分に逃げろと叫び続けた声はしばらく繰り返されていたが、夢中で逃げているうちにそれもやがて聞こえなくなり、どうやって逃げ続けたのか自分でもわからなくなっているうちに道に迷ったという。
やがて夜になったがあの恐ろしい熊から一刻も早く逃れたいものだから野宿など思いも寄らず、方角もわからないままひたすら歩き続けていた。
翌日の夜明けから間もない頃に偶然、猟師のフレージルに見つけられて彼
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