第五十八話
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ン、大丈夫か?」
「……何とか……」
翼を持たないレコンを抱えて飛んでいるため、俺たちの方に追っ手が来ないのはありがたい……と、思っていたのだが。俺たちと併走して飛ぶ、サラマンダーの《サーチャー》が俺の視界の端に移った。
「ショウキさん、サラマンダーが新たに三人! 多分、ぼくたちとは別のシルフを追ってたサラマンダーだ……」
「別働隊か……」
サラマンダーが一人ならば何とかなったかも知れないが、三人ともなれば今の状態で勝ち目はない。一刻も早く、シルフの首都《スイルベーン》へと戻らなくては、プレイ初日に殺されてしまうだろう。
たかがゲームとはいえ殺されてしまうのはゴメンだし、このバグアイテムが他のプレイヤーに渡れば、このアカウントがどうなるか解らない。ネットゲームという性質上、バグとプレイヤーは即刻削除され、アスナの手がかりを失ってしまう。
――そうなれば、キリトとアスナに顔向け出来ない。
「レコン、スイルベーンってどっちだ?」
サーチャーを斬りながら少しばかり飛んできたが、どこもかしこも木ばかり。スイルベーンはどこかと聞くと、レコンは少し考えた後に答えた。
「……正反対、かな」
「…………」
これで馬鹿正直にスイルベーンの方角へ向かえば、サーチャーの存在もあって、確実にサラマンダー三人に接敵することになるだろう。しかし、このまま直進しても永遠に《スイルベーン》につくことはない。
「……どっか他に《圏内》……じゃなくて、中立の場所はないか?」
「……確か、もう少し行けば海に出て、そこには中立地点でログアウト出来る船が……」
レコンが頭の奥から引っ張り出して来たような記憶を頼りに進むと、サラマンダーには見つからずその船を見つけることが出来た。ダンジョンで疲れた人用の、船型の宿泊施設ということだろう。
「明日、スイルベーンに戻ることになるか……ワープみたいなの無いのか?」
船に着地して一息ついた後、抱えていたレコンを降ろしながら聞いてみた。まあ、そんなものがあるなら最初から使っていると思うので、そんなものは無いのだろうけど。
「ワープみたいなのは無いかな。リーファちゃんに、今日は帰れないからサラマンダーがいなくなってから帰る、ってメールしとかないと……」
レコンはメニューを開いてメールを打ち始めると、驚くほど速い速度でメールを打っていき、驚いている内にもう打ち終わっていた。……そのメールが来たことを知らす音声で、サラマンダーが放ったサーチャーに見つかったというのは、今のレコンに知る由もない。
「じゃ、今日はここで泊まるかな。ショウキさん、ニュービーなんでしょ? 助けてくれたお礼に宿泊費奢るよ」
人の良さそうな笑顔を見せるレ
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