力とは
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いった千李の目には覚悟の光が宿っていた。
――――私は私の力を自らのために使うのではなく。友達を……仲間を……人を助けるために使う!!
千李の決意に呼応するかのように体に刻まれた封印式が消えてゆく。
そして千李の体からあふれんばかりの気が放出された。
しかしその気は前のような重く不快なものではなく、とても神秘的なものに感じられた。
千李は大きく足を振りかぶる。そしてその足に気を集中させる。
「割れろおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
叫びとともに打ち放たれた気が海に触れた瞬間海が大きく二つに割れた。
それを見逃さず千李は割れた海の間を駆ける。
海は割れたあとも戻ることをしなかった。いや千李の力でさせていなかったのかもしれない。
千李はマキのところまで行き気を失ったマキをキャッチすると、また全力で浜辺に引き返した。
その間も海は戻ることをしなかった。
千李とマキが浜辺に戻った瞬間海は元の姿を取り戻した。千李がマキを見るとマキは気を失っているようだったが、息をしていたため千李も安心したようだ。
しかしその瞬間千李も糸が切れたかのようにその場に倒れ付した。薄れてゆく意識の中三大の声が聞こえたような気がしたが、千李はそのまま目を閉じた。
「はっ!!?」
千李はガバっと起き上がった。周りを見ると海ではなかった。どうやら極楽院のようだ。
「気がついたかいセンちゃん?」
「三大ばあちゃん……ゴメン私がついてたのにマキを……」
「いいさ。幸い大したことなかったんだ……それもそうだがセンちゃん。アンタ封印が解けたね?」
三大の言葉に千李は静かに頷く。それに対し三大は微笑で返した。
「よかったねぇセンちゃん。これでアンタは川神に帰れる。それにもう力の使い方を誤る事もないだろうさ」
「ええそうね。ありがとう三大ばあちゃん、私に大切なこと教えてくれて」
千李が礼を言うと三大は小気味よく笑った。
「なぁにわしは大したことはしとらん。その力を自分で取り戻したのはセンちゃんじゃないか。胸を張りな」
いいながら三大は千李の頭を撫でる。だが千李の目には大粒の涙が光っていた。
「ここを離れたくないかい?」
俯く千李の顔をのぞきこむように三大がみると、千李の涙はもう限界だった。次々に涙があふれ口からは嗚咽が漏れ出している。
そんな千李を三大はそっと抱きしめる。
「大丈夫じゃよ。いくらアンタがここを離れるといっても、アンタはれっきとしたここ極楽院の子だ。さびしくなったらいつでもきなさい。わしはちゃーんとまっとるよ」
千李は泣いた。声を張り上げて泣いた。
三大はただ
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