力とは
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の、すぐに理解したのか顔を悲痛に歪ませ目じりに涙を溜め始めた。
その様子に気付いた千李はぎょっとした表情で立ち上がり、少女の隣に行くと溜息交じりに告げた。
「わかったよ……お前の好きにしろ」
「……うん。ありがとう」
千李折れる先ほど座っていたところに座り直すと、少女も千李にぴったりとくっついて座る。しばらく2人は無言でいたが不意に千李が少女に聞いた。
「お前……名前は?」
少女は急に話しかけられ戸惑ったような顔をしたものの、静かに答えた。
「……マキ」
「マキね……じゃあマキはなんで私に話しかけたんだ?他に話しかけられそうな連中なんていっぱいいただろうに」
小首をかしげながら言う千李にマキはたどたどしく答えた。
「……あなたもずっと1人だったから……仲良くなれるかもって思ったんだ」
「ふーん」
それだけ答えると2人はまた黙っていたがマキが千李の下を離れることも、はたまた千李がマキを離れることもなかった。
三大はそれを遠目にみると少し嬉しそうな顔を浮かべていた。
千李とマキが一緒にいる様になってからというもの、千李はだんだんと子供達と遊ぶ機会が多くなった。最初は千李とマキを遠巻きに眺めていただけだったのだが、子供たちも千李がマキと一緒にいるから安全だと判断したのか千李たちを誘うようになったのだ。
最初は2人ともぎこちない雰囲気だったが数をこなすにつれ、千李やマキにも笑顔が増えていくようになった。
そしてさらに1年後子供たちと遊ぶうちに千李は皆のリーダー的存在になっていた。千李もまんざらでもなさそうでしっかりとみんなの面倒を見ていた。だが1人千李には気になる存在がいた。その子は男の子で、その子を一言で表すなら自分の殻に閉じこもり外界と接触することをしない子だった。
千李はその子を見て思っていたのだ。
まるで過去の自分を見ているようだ、と。千李自身極楽院にやってきた時はいつも回りの子供たちを寄せ付けないようにしていた。その子もまた千李と同じだったのだ。
どうしてもそのこの子とが気になった千李は意を決してその子に話しかけてみた。
「よう。何でお前はいつも1人なんだ?」
「……べつに。ただ気が向かないだけだよ」
……この反応私の初期とおなじ。
少年を見ながら千李は思い返す。千李自身今思うととても恥ずかしいのか、多少バツが悪そうな顔をする。
「そっか。んじゃまぁ少し私と遊んでみようじゃないか。すこしは楽しいかもしれないぜ?」
「……わかったいいよ」
「よし。じゃあ名前教えてくれるか?」
「大だよ」
大の返答に頷くと千李は大の手を引きみんなの下へ駆けて行った。大は結局
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