力とは
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千李が極楽院で暮らすようになり約一年が経過した。しかし千李は友達を作ることをせずいつも1人、縁側に座り庭を眺めているか、眠っているぐらいだった。
極楽院で暮らしている子供達の幼心でも、千李のことが異常な人物だとわかってしまったのだろう。彼らも千李に声をかけるわけでなく千李とは別に遊ぶ姿が見られる。
だが千李自身そんなことはまったく気にしていなかった。なにぶん川神ですごしていた時も千李は子供らしく遊ぶことはせず、毎日毎日武術の練習にはげんでいたからだ。たまに遊ぶとしても千李と遊べるのは百代ただ1人だけだった。
そして今日も千李はただ1人ぼんやりと虚空を見上げるだけだった。
「まだ友達はできないかいセンちゃん?」
「……どうだっていいだろそんなこと」
三大が声をかけてくるが千李はぼんやりとしたまま答えるだけだった。
「はぁー。まったくそんなに人をよせつけないような空気をかもし出してれば近づいてくる子もいないさね」
どっこらせ、と千李の隣に腰を下ろす三大を千李は睨むが、三大はそれを気にした風もなく千李に告げる。
「つまらなくはないのかい?毎日毎日ここでぼんやりしていて」
「つまらなくはないか、だ?ふざけんなつまらねーに決まってるだろ!戦うこともできないこんな状態なんて……生き地獄にもほどがある」
声を荒げるがその声には怒りのほかに、もう一つの感情が見受けられた。
「焦っているかいセンちゃん?」
「っ!?」
怒りに隠した感情を見破られ千李は苦悶とも取れる表情をするが、すぐに三大から視線をそらした。これ以上醜態をさらしたくなかったのだろう。
「焦っているのは……封印の解き方についてだね?」
「……ああ。そうだよ」
目をそらしながらも千李は答える。その姿に見かねたのかため息をつきながらも三大が人差し指を立て告げる。
「ヒントをあげようか……一番の近道は友達とか仲間を作ることだよ」
「は?」
「まぁそれ以外は教えられないねぇ……あとは自分で考えな」
千李の疑問の声を無視し三大は立ち上がると奥の部屋に姿を消す。残された千李は疑問の表情を浮かべるのみだった。
三大にヒントを出されてからしばらく経っても千李の周りに大きな変化はなく、今日もまたいつものように1人でぼんやりとしているだけだった。
だが千李は不意に後ろから声をかけられた。三大ではなく子供、しかも女の子の声だった。
「あの……となりすわってもいい?」
弱弱しく言う少女を千李は一瞥すると冷徹に言い放つ。
「なんで?私のとなり以外にもすわれるところなんていくらでもあるだろ?」
少女は一瞬何を言われたかわからないような顔をしたもの
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