裏通りの鍛冶師
とあるβテスター、苦戦する
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ことのない差(数の暴力ともいう)があった。
そして───
「まさか結晶無効化エリアだなんてね……」
「困ったねー」
「オマエはちったぁ緊張感を持てよ!!」
こんな時でも気の抜けるような声を出すシェイリ。
こんな時でも律儀に突っ込みを入れるリリア。
打開策を考えてはいるものの何も浮かんでこない僕。
SAOに存在するHPの回復手段は、大きく分けてポーション類と結晶アイテムの二種類に分類される。
ポーション類は総合的な回復量は多いけれど、時間をかけて徐々に回復していくという性質上、緊急時のHP回復には向いていない。
逆に、結晶アイテムはポーション類に比べて回復量は多少劣るものの、回復効果に即効性があるという点では予想外の事態に対応しやすい。
これだけを見れば、戦闘での回復には結晶アイテムだけを使えばいいように思えるだろう。
ところが、結晶アイテムは店売りのポーションよりも高価で、尚且つその入手方法の多くはモンスターからのドロップのみというレアアイテムだったりする。
常に最前線で戦い続けてきた僕とシェイリですら、よほどのことがない限り結晶アイテムのお世話になることはないくらいだ。
よって、SAOでの回復には基本的にポーション類を使い、予想外の苦戦を強いられた時などの緊急時にのみ結晶アイテムを使うというのがセオリーとなっている。
結晶無効化エリアはその名の通り、結晶アイテムの使用が一切禁じられてしまうという、ダンジョン攻略において最も注意すべき空間の名称だ。
当然ながら、緊急脱出に必要な転移結晶の使用も禁止されてしまうため、結晶無効化エリアにおけるプレイヤーの死亡率は劇的に跳ね上がる。
僕たちが事前の打ち合わせ通り、戦闘が不利になったら転移結晶で脱出する───といった予定を未だ行動に移していないのは、この広間が『結晶無効化エリア』に設定されているからに他ならなかった。
更に悪いことに、僕たちがこの空間を結晶無効化エリアだということを認識するよりも早く、侵入不可オブジェクトによって出口が閉ざされ───
結果として、僕たちは多くの敵に囲まれながらも戦うしかなくなってしまったというわけだ。
「だああああ!何匹いんだよクソッ!」
「ぜんぜん終わらないねー?」
この広間に突入してから、どのくらいの時間が経っただろうか。
既に僕の投擲用ナイフは底を尽き、投剣スキルで二人を支援することはできない。
当然、休憩を挟む余裕もなく戦い続けているため、二人の武器の耐久度も心配だ。
予備の武器は用意してあるとはいえ、敵に囲まれがちなこの状況で、今以上に火力が落ちればどうなるか……想像するのは難しくない。
───そろそろ、何とかしないと……!
そうなる前に、この空間からの脱出条件───恐らくは敵の全滅
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